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暗黒街の対決のHKのレビュー・感想・評価

暗黒街の対決(1960年製作の映画)
3.9
岡本喜八監督による暗黒街シリーズ第2作目。キャストは三船敏郎、鶴田浩二、佐藤允、中丸忠雄などなど

街を牛耳るギャング組織がバックにある殺人事件の真相を調査する汚職刑事が、そのギャング組織によって淘汰されたギャング組織の幹部で、殺人事件で殺された女の旦那である男と奇妙な友情を築きながら、事件の真相を探りながら組織壊滅を狙うノワール映画。

暗黒街シリーズ第2作目なのですが、この暗黒街シリーズで特徴なのは脚本がウェルメイドな東宝映画の王道脚本で有名な関沢新一さんがとっていることなのかな~と最近思ったりします。だから良くも悪くも東宝らしさが出ているのかと。

しかし、それ以上に、喜八さんによる絶妙でクールでかっこいいカッティングが目立つ作品でもある。クレーン射撃のシーンとか特に自分は好きですね。あのテンポ感は個人的にはたまらない。

キャバレーでの場外乱闘シーンなどもあるのだが、あそこでの癖は何とも言えないんですけども、それでも喜八さんによるテンポ感あふれる徒手格闘シーンはたまらないと思いました、なんたってコミカルで面白いんですもん。

登場人物のやり取りに、トランプを並べるカットとかお札が飛ぶカットを入れることでクールで外連味のある演出を見事に取り入れていて個人的にはとても好き。

何よりも、前作以上に佐藤勝さんによるジャズ音楽が良い味をだしていると思いますね。アップテンポでそれでいて壮大でもあるためやはり個人的にはとても好きです。

喜八さんによるカッティングで突然ワープしたりしてしまう部分、僕はこれを喜八イリュージョンと呼びます。普通の監督さんがこういう突然場面が切り替わるようなことやっても混乱してしまうのですが、喜八さんによるこの切り替わりのシーンはクールでかっこいいため、見入ってしまうんですよね。だからこそ自分はファンになったのだと思います。

特にこの暗黒街シリーズでは、銃撃のシーンにおける三回パンのような演出がとてもいい味を出していると思いますね。オープニングからかっこいんだから素晴らしいです。

今回の殺し屋はもろ外連味たっぷりというか、コミカルというか、天本英世さんのせいか凄い不気味ながらもどこか抜けている感じがしてそこが好きです。

ただ、最後の最後で鶴田浩二が死んでしまうシーンは、ちょっと喜八さんらしからぬ間延びしていた展開でちょっと合わなかったかなと思いますね。喜八さんは乾いた死の描き方に定評があるし、ああいうのは多分関沢さんとかの影響があっちゃうのでしょうかね。

いずれにしても、前作以上に面白かったと思います。見れて良かったです。喜八さんによる現代劇も生きていれば見てみたかったな~と思いますね。
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