他意はないが、考えながら映画を見ようとしない人には、良さがわからない映画。
桐島っていう人物がいるのかいないのかはわからないが、桐島という人物はみんなにとっての憧れであり、青春の象徴。
選抜メンバーになるほど運動神経抜群で、美人な彼女がいて、勉強もできる。
そんな桐島が突如学校を休み、また部活をやめるらしいという噂だけでみんなを不安にさせ、動揺させる。
たったそれだけの話なんだけど、とにかくすごく作り込まれていて、理解をするのに努力を要する。
オロオロする人たちの共通点は、刹那的な快楽を求めるというか、単なる流行りだったりとかを追ったり、その場にいる人をバカにしたりするだけ。言うならば自分がない。
実はこの人たちのセリフのほとんどが本心ではない、またはあえてセリフを発さないことが原因で、ものすごく想像力を要する。
一方で全く動揺しない人もいる。その人たちはズケズケと本音を言い、自分のやりたいことをやる。
外から見るとオロオロする人たちの方がいわゆるリア充に見えるが、でもすごく脆い。でも動揺しない人たちはまわりから理解はされにくくつまらなさそうに見えるが実はすごく充実してる。
皮肉なことに、形骸的な青春を求める価値観が無意味なことを、ある時ふとヒロキは気づいてしまった。
ヒロキはおそらく桐島がすでに無意味なレースから降りたことを悟り、その先に見える景色を聞きたくて電話したんだと思う。