吉田大八監督の1番有名な作品だけど、初めて観た。自分の学生時代なんかとも重ねてしまってすごく苦しくなるけど、最後までずっと面白い。構成は『現金に体を張れ』のような感じ。
スクールカーストをすごく丁寧に描いていて現実感があったような。部活動内の上手い下手で決まる力関係とか、イケてる人への嫉妬とか、そういう嫌なものを思い出した(笑)
だからこそ、映画部の逆襲とも言えるあのシーンは一瞬だけ反転した力関係を、すごく映画的であり、エネルギッシュな映像で表現していて、心地よい。吹奏楽部の子と同様、失恋を自分の打ち込むべき事で表現に昇華している。
そして、こっち側ではないけど、東出昌大が演じる宏樹が興味深いキャラクターで引き込まれた。何もかもを手に入れているように見えて、本当に自分が大切にしたいものが実は分かっていない。共感と反感を同時に覚える稀なキャラクター。でも視点としてはフラットだから観客も感情移入しやすそう。
[2021年 92本目]