塩せんべい

桐島、部活やめるってよの塩せんべいのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
5.0
これはマジで好き。学園群像劇。『告白』みたいな、表面化しない学生たちの心の闇をえぐり出した作品かと思いきや、もっと普通のことをやりながらも、トリッキーなことをやっていたので驚いた。だから、これはどの年齢層の方にもオススメ。どの社会にも必ず1人はいる、何でもできちゃうスーパーヒーロー。それが桐島という学生なんだけど、そいつが突然バレーボール部を辞めると言い出したことから全ては始まる。同じバレーボール部員が動揺するのは当然だが、桐島のクラスの奴らも騒ぎ出す。彼のガールフレンドの子は泣くしまつ。なぜ彼らがそこまで動揺するのかは一切語られない。この桐島を取り巻く連中は、いわゆるスクールカースト的には上位なわけで、、じゃあ、それ以外の奴らはどんな学園生活を送ってるんだ?と。
これに、主人公の宏樹くんが気づいてしまう、という話。
なんだ、それだけか、と多くの人は思うでしょう。でも、そんな単純な話ではない。スクールカースト下位の学生というのは、いわゆるオタクと呼ばれてるような人々で、この映画の中では映画部と吹奏楽部が取り上げられている。神木くんは映画部部長で、ゾンビ映画を撮ろうとしてる。そのロケ地には、いつも邪魔するかのようにサックスの練習をしに来る女の子がいる。実は、宏樹くんのことを密かに想ってるんだけど、叶わない恋だということも分かってて、心に決着をつけることができないでいる。その満たされない想いを、吹奏楽部の合奏の中で昇華していく過程は感動もの。また、神木くんもそんな役なんだけど、屋上でのゾンビが登場するカタルシスの後、宏樹くんとのシーンの演技が最高すぎる。ちょっとはにかんでるような、オタクっぽい子の独特の仕草が上手いよな〜。夕陽の中、宏樹くんが泣きそうな表情するんだけど、あそこで決定的に気づいちゃうんだよね。ああ、俺、こいつらより何も持ってないんだって。そして、ラストのグラウンドを眺めるシーンで、スパッとエンドロールに入るセンス。マジ凄い。目から変な汗が出た。
あと、クラスのグループ内での微妙なギスギスした雰囲気とか、これ経験ある人多いでしょ。ここは私の居場所じゃないかもしれないけど、このグループから離れて一人ぼっちにだけはなりたくないっていう焦燥感。胸が痛いような、息苦しいような。でも、ちゃんと屋上でのシーンでカタルシスを設けてくれてるから、ふっ、、とガスが抜けて気持ちよさを感じる。
結局、自分を強く持ってた奴が最強ってことでしょ。
ぜひ、若者映画だと敬遠せずに色んな人に観て欲しい作品。観た後は誰かと語り合いたくなるはず。