福福吉吉

桐島、部活やめるってよの福福吉吉のレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
バレー部で高校内のスターだった桐島が部活をやめるというニュースが駆け巡る。桐島の彼女のリサや親友のヒロキなど大きく動揺が走る中、映画部のマエダはそのニュースに関係なくゾンビ映画の撮影に執心していたが...。

◆感想◆
原作小説は読んでいません。名前だけは知っていた作品でアマプラで配信終了だったので観てみました(レビュー投稿時には配信終了になってます。いつも遅くてすみません。)。

高校内で成績優秀・スポーツ万能の誰もが認める人物だった「桐島」が部活をやめて姿を消したことから高校内の深い関係にある者はもちろん、全く関心のなかったものにまでその影響が波及していく様子を同じ時間を複数の登場人物たちの視点で描いた群像劇となっており、高校生たちのそれぞれの思いや世界の見え方がリアルに感じられて、興味をそそる内容になっていました。

多くの登場人物たちが並行して動いており、最初は把握しにくい部分もありますが、前述のとおり、各登場人物の視点で同じ時間を描いているため、おのずとそれぞれの個性が現れていてすぐに理解できるようになっていました。

「桐島」が不在のまま、桐島の彼女のリサ(山本美月)や同じグループの女生徒、親友で野球部だけど部活に出ないヒロキ(東出昌大)らのグループ、桐島を頼っていたバレー部の部員たちが必死に桐島に連絡をつけようとします。その一方で映画部のマエダ(神木隆之介)らは我関せずでゾンビ映画の制作に頑張っています。それぞれの心情が本当に生々しくて、高校時代の学生同士の人間関係のシビアさと滑稽さが上手く出ていたと思います。

また、その時々で中心となるキャラクターが変わるので、絵面として変化があって退屈することなく最後まで観ることができました。終盤には全てのキャラクターが絡む展開に収束していくストーリー構成も合わさって、映像として面白いと思いました。

もう遠く過ぎ去った高校時代の色々な感情の動きが少しは蘇ってくるように感じて、面白かったです。「桐島」がストーリーの中心に見えて、学生たちそれぞれが主人公として多彩な心情をもって生きる姿を描いていて良くできた作品だと思います。

鑑賞日:2025年4月26日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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