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桐島、部活やめるってよのabokadoのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.3
再度上映にて、ベボベのボーカルこいちゃんも大好きな作品。最初騒がれている理由がわからなかった。でも今回気付いた。

高校という狭い枠内でのカースト制度。クラスの中心、地味な奴、その他の中立の立場 どこかに自分の青春時代が無いかと皆当てはめて観ると思う。でも自分はどこの位置にも置かず第三者目線で見てみる。
タイトルの『桐島』作中全く出てこないこの謎の人物は舞台である学校という小さな世界の秩序でありモラル。ルールに従順な人々=前田達、沢島以外の生徒。桐島が部活を辞め学校に来なくなるということは秩序が乱れ従っていた人たちは道を失い壊れて行くということ。宏樹達が『俺ら何の為にバスケやってんだっけ、桐島待つ為だよな』という自分の意見がさも無いかのような台詞から感じる。バレー部でのぶつかり合いやリサ、サナ達グループの崩壊もそれを表している気がする。つまりこの集団は君主主義の様な感じ。
それに対し前田と武ちゃんの所属する映画部はルール総無視の型に縛られない自由主義といったところ。同じくして沢島も自分の主義を貫く。(宏樹に夢中!!)この相反する二つの比較(同じ場面を何度も違う目線で)が面白い。この二つの考えの人種が混じり合った時のあのシーン!!屋上でのカット、『みんな食い殺せ‼︎』からの宏樹が前田に話しかけるところ‼︎なんて爽快なんだろうか。
前田が8mmカメラを持って『やっぱりかっこいいね』の一言。宏樹の涙はきっと、今まで自分が囚われていた事に気付いてしまったんだろうな。そしてその言葉で全然枠にとらわれない前田達がかっこよく見えたのではなかろうか。憶測だけど。

後、真っ直ぐな映画愛を感じる。特にロメロ監督!!原作者の朝井さんも映画が好きなんだろう。
自分がこの中に行けるとしたら前田と話しがしたいなてすごく思った、楽しいだろうなって。どこにもぶれず何かに一生懸命な人はそれだけで魅力的。映画部万歳。
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