緑雨

桐島、部活やめるってよの緑雨のレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
3.5
映画の話法を壊すことに挑戦しつつ、半径15m以内のリアリティを描き出すことにも成功している。巧い。こじんまりとまとまっちゃった感はあるけど。

主観を入れ替えながら、時間軸をリフレインしつつ、登場人物のキャラクタを浸透させていく前半部。最近ではそう珍しくも無い手法ではあるけど、モチーフとなっているのが「一人の少年が部活をやめる」と云う外から見たら他愛のない出来事であるというところがユニーク。それでありながら、高校生活の狭いコミュニティに与える衝撃は極めて切実で大きいという滑稽さ。

ゾンビものの映画内映像で、映画の話法を崩す件りに高揚を憶えたが、収束の仕方がやや大人しく、最終的にはただ巧いだけ、という印象も。

女子4人組のうちの一人を演じた松岡茉優の、虚栄心たっぷりな性悪さの造形が絶品と思う。
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