ぐっない

桐島、部活やめるってよのぐっないのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.8
(この文章を読み返して、なんか最近私は同じことばっかり言ってるなあって思った。同じことばっかり考えてる。この映画は、答えをくれるんじゃなくて、同じところに立ってくれた。気がする。)


みんないいんだよ。みんないいんだよー。きみも、きみも、きみも、わたしも、みんないいんだよー。


『よくしらない大人に、青春を楽しめよって言われると、むかつく。思春期だもんなーとか言われるのも、むかつく。うるせえって思う。青春も思春期も過ごしている中ではふつうの毎日で、貴方達は大人になったからそう言えるのでしょう。大人からしたら甘酸っぱい思い出なのかもしれないけれど、楽しかったなーって、そう思うものなのかもしれないけれど、渦中はただの日々なんだよ。ふつうに苦しい。ふつうに辛い。だから、貴方達の思い出を押し付けんなって思う。』
って、中学生のときの私はすごく思ってたんだけど、今も思うけど、なんだろ、言われるのも幸せなのかもなって。
とてもわかるし。例えばわたしが中学校の前を通った時感じる懐かしさや、小学生の下校を見た時に感じる寂しさ、とか、そういうことでしょう。


ずーっと、夢を見ろって言われてきた。正しいことばかり教わってきた。けど、なんでだろうね、高校生になると、駄目な気がする。大人も、私たちも、駄目だよって言ってる気がする。そろそろ、現実を見ないとって。
大学の話をするでしょう、分厚い本に載っている大学の情報、就職率98%とか、離職率がどうたらとか、大手就職先とか、書いてあるでしょう。見るけど、わかんないし、見たくないなーって思っちゃう。なんか、寂しくなる。分かってるんだけど。分かってるんだけど。
困っちゃうよね。私も気づいたらあと半年ちょっとだって。私は学校という仕組みにいっぱい反抗してきて、友達より先生とばっかり喧嘩してきたんだけど、なんか今は、さみしいなーって思う。校則と制服に縛られるのも、悪いものでもないのかもしれない。



陽陰二元論で語られる私たちの立ち位置は、本当はそんな単純なものではなくて、ぐらぐらなんだよ。なにかひとつで、いろんなものが変わる。みんな言葉にしないだけで、分かってる。自分がどこにいるのか、何をしちゃいけないのか、何を求められてるのか。この映画を見ながら、いろんなことを思った、あーわかるー、この部活はこうだよねーとか、ここがこうなるんだよねーとか。けどなんか、言葉にするのはやっぱり、不粋じゃんね。


最後まで見て、ちょっと、泣いた。一筋くらい。みんないいんだよーって思った。明るいひとが泣いてるのも、暗いひとが笑ってるのも、まだ夢を諦められないのも、恋が叶わないのも、現実を見ようとしてるのも、突然部活を辞めちゃうのも、よくわかんないけど怒っちゃうのも叫んじゃうのも、みんないいんだよー。もう全部、高校生のせいにしちゃおうぜ。将来、映画監督になるつもりはないけど、今、好きなものを撮る、それでいいじゃんね。いいよ、全部高校生だからで許してもらおう。
いいよ。みんな。
そういうことにしちゃおう。
ぐっない

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