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桐島、部活やめるってよのtetsuのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
5.0
いつの間にか600レビュー🎉ということで、とある理由で鑑賞していた本作を投稿。

金曜日、
バレー部のキャプテン・桐島が、突然、部活を辞めた。
衝撃の波紋は同級生たちの動揺を呼び、彼らの人間関係を少しずつ浮かび上がらせていく...。

[はじめに]
初めて観たとき、高校生だったこともあり、原作小説も読むほどハマった本作。
かなり共感する部分が多く、胸に刺さる作品でしたが、年月が経ち、改めて観ると様々な発見がありました。

[新たな発見]
たとえば、
本作における"視線"の演出。
映画の中の視線の重要性は大学に入ってから学びましたが、本作では、それが顕著にあらわれていたように思います。
"見る側"と"見られる側"というわずか2カットで好意を表現している点、そして、それが畳み掛ける序盤の教室のシーンが素晴らしく、各登場人物の関係性を知った上で観ると、その秀逸さに唸らされました。

また、登場人物が多い群像劇ながら、それぞれの個性が引き立っているという点も見事。
今では一流の若手俳優である役者さんたち(太賀さん、松岡茉優さん、前野朋哉さんなど)のハマり具合や、全員の表情を見せようと工夫された画作りが印象的でした。

そして、かつて噛み砕けなかったラストシーンが少し分かるようになったのは、今回の一番の発見でした。

ここから、作品の本質に関わるネタバレがあるので、未見の方はご注意ください。


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恋人がいて人気者だけれど、いまひとつ打ち込めることがない人、
クラスの中では地味だけれど、必死に打ち込める部活がある人、
この物語では大きく分けて2種類の人物が登場し、日本特有の学級内ヒエラルキー(学校内での身分格差)に悩まされる学生たちの姿が描かれていました。

物語のラストを初めて観たときは、人気者の一人・菊池のシーンで終わる意味が全く分かっていなかったのですが、改めて観ると、ようやく腑に落ちた気が...。
ある意味、(部活を退いたという意味で)桐島の数年後にも重なる彼が、止まっていた一歩を踏み出すことが示唆されるラストシーンに、夢や目標を持って努力する人々を肯定しているような印象を受け、高校時代を終えた今だからこそ刺激される感情がありました...。



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[ここから余談。]
と、そんな本作を観ると、自分の高校時代を思い出します。
振り返ると、中の下ぐらいのスクールカースト(学級内階層)に必死にしがみつこうと頑張っていましたし、所属していた陸上部の中では特に大した成績もあげられず、尊敬していたマネージャーには完全に嫌われるしで、かなりダサい高校生活だったようにも思いますが、それも今では尊い思い出だったなぁと...。

あの時の失敗や経験がなければ、今の自分はないわけだし、(もちろん、今でも未熟な人間ではあるのですが、)この頃の経験を思い出すことが、現在の糧になるような気がしてきました。

[最後に]
話は戻りまして、実は今回、本作を観ることになったのには"とある"理由がありまして、それは僕自身が自主製作の短編ゾンビ映画を作ることになったこと。(割と衝撃の事実。笑)

その参考のために本作を改めて見直したわけですが、恋愛感情や周囲の冷たい視線に屈せず、純粋に映画作りをする前田くんの姿にとても勇気をもらいました。

「現実はいつも思い通りにいくわけじゃないし、踏んだり蹴ったりだからこそ、映画ではフィクションを描くべき。」
というのが、最近の私観なので、それも踏まえて初めての脚本を書きました。

かなり雑な部分も多いですが、個人的な考えも踏まえて書き上げた物語なので、良い作品にできたらいいなぁと思っています。(絶賛、編集中。)

というわけで、まとめると、
僕は人気者の菊池よりも、自分の夢を貫いた前田くんになりたいと思いました。笑

参考
中森明夫氏による映画「桐島、部活やめるってよ」のレビューが素晴らしい件【ややネタバレ】 - NAVER まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2134518604322114301
(なるほどね...。って感じですね。笑)

神戸インディペンデント映画祭
https://kobe-filmfes.com/
(例の作品は、コチラのイベント内、映画チア部のコーナーにて上映する予定です!)

2021/04/03 追記

KOBE OF THE DEAD - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rIIlig4OYBY&list=PLlbqW2NfLgQ0s2WZ8wtdsSduvO1t0SKWi&index=7
(最後までお読みいただきありがとうございます。そのお礼といってはなんですが、皆様に、本文でご紹介した短編映画を限定公開。拙い出来ですが、興味があれば、是非、ご覧ください。)

映画チア部が映画を作った話。(オンライン上映会直前特集.2)|映画チア部京都支部|note
https://note.com/moviecheerkyoto/n/nec641cd95d63?magazine_key=m3eac9ffda7d6
(こちらの短編映画の制作背景などの裏話はこちらから!)
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