はる

少年は残酷な弓を射るのはるのレビュー・感想・評価

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)
4.5
こういう救いの無い映画を観終わった後はどよーんとしますね。でも面白かったですけどね。途中ふつうにネタバレしながら感想書きますね。
ストーリーはもうタイトルそのまんまです。少年が残酷な弓を射るんですよ!
主人公のエヴァという人をティルダスウィントンが演じてますが、これ以上ない程の不幸感ですよね。特に表情!常に口を半開きにして、あまり瞬きせず一点を力無く見つめるあの感じ、凄いですよ。あの顔だけで既に哀しいですからね。
この映画はエヴァが執拗な嫌がらせを受けているシーンから始まります。例えば家に落書きされたり、道行くおばさんにいきなりビンタお見舞いされたり、買い物かごに入れておいた卵をちょっと目を離した隙に破られてたり、とまぁホントに可哀想なんですよ。
そうすると次はエヴァの過去のシーンに移り変わります。エヴァは夫との間に息子ケヴィンを授かります。でもケヴィンはエヴァには懐かず、反抗的な態度を取り続けるんですねぇ。コレまたイヤ〜なシーンが続くんですよ。そんなケヴィンもすくすく成長してハンサムエズラな訳ですが、やっぱり反抗的な態度は相変わらず。そしてその後ホニャララっていう話です。
この映画のケヴィンの態度は理解不能で片付けてしまいたいですけど、何とか振り絞って考えて理解した気になってみると、マザコンの究極系がケヴィンなんじゃないかなぁと思いましたね。例えば、エヴァがケヴィンの態度に腹を立て、ばーんと突き飛ばして怪我をさせてしまうシーン。普通の子供ならお父さんに向かって「お母さんにイジメられたー!わーん!」みたいな事言いそうですけど、ケヴィンは「自分で転んで怪我した」みたいな事を言ってエヴァを庇うんですよね。コレはあくまで自らの手で母親に罪悪感を植えつけたいからこその行動ですよね。ラストのあの行為も誰よりも母親を傷付ける為に犯してますよねぇ。父親とはニコニコして仲よさそうに見えるケヴィンですけど、実際には父親の事など眼中に無くて母親のエヴァこそが彼の全てだったんじゃないでしょうか。
あとこの映画を観て思ったのは加害者家族への残酷な仕打ちについてですよね。被害者遺族や近隣の人間などエヴァに対して散々な嫌がらせをしてくる訳ですけど、それは正義を振りかざして行う完璧な悪だなぁと胸糞な感じでしたね。
何はともあれエズラはスーパーハンサム!ハンサム!ハンサム!!
はる

はる