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少年は残酷な弓を射るのninaのレビュー・感想・評価

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)
4.0
『慣れるのと好きは違うよ。ママもそうでしょう?』

何をどうすればよかったのだろう。
どこで何を間違えたのだろう。
愛する振りってどこまでも残酷で、伝わってしまう。
もし、我が子を愛せなかったらどうすればいいんだろうか。

ケヴィンは愛してほしかったんだと思う。最初から最後までケヴィンはお母さんの目を見てた。
面会シーンで二人とも無言のカットが何回か出てきたけど、最初は二人とも目をそらしてた。
最後のカットはケヴィンだけがお母さんを見てた。拘束されたシーンも、パトカーに乗せられたシーンも、どのシーンでもお母さんを見てた。やっぱり愛してほしかったんだと思う。
母が自分を愛してないって子供ながらに分かってて、上記のセリフを言ったケヴィンはどんな気持ちだったんだろう。
もし私が、愛してない我が子に言われたら言葉に詰まるだろうな。

エズラさんの美しさと不気味さ、妖艶さが無かったらこの作品は出来上がらなかった。ティルダさんの負のオーラは完璧すぎて、言葉なんかなくても何があったか察することができる。
非常にセリフの少ない映画だったと思う。でも役者の顔や仕草ですべて伝え切れてる。
本当に素晴らしい映画って、言葉なんて無くても伝わるんだと思い知らされた。

圧倒的な「赤」い世界と、見る人を引き込む演技で忘れられない映画になった。
あんな静かなエンドロールも見たことがない、最後まで重苦しい作品。
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