こたつむり

スマグラー おまえの未来を運べのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.1
♪ 溢れる愛をくらえ ひるんじゃいないさ
  歪んだ世界もまっすぐ生きていく

年齢区分を示すレーティング。
本作はPG-12(12歳未満は鑑賞注意)なんですが「本当にそれで良いの?」と思ってしまう作品でした。ちょっとねえ。暴力表現が激しいんですよねえ。

何よりも加害者が楽しんでいるんです。
演じているのは髙嶋政宏さん。かなり“キワモノ”感満載の方向に振り切れちゃっているんで…なかなかヤヴァイです。中二病を発症する年頃にはかなり強烈だと思います。

原作は真鍋昌平先生によるコミック。
代表作である『闇金ウシジマくん』でも分かるとおり、闇社会を描かせたら切れ味抜群の筆致ですからね。それを再現するとこうなるのでしょうが…。いやぁ。刺激的です。

また、主人公のヘタレ具合も見事な限り。
観客の立場でも嗜虐的な気持ちになるほど及び腰なんです。この辺りは妻夫木聡さんの面目躍如ですね。二枚目な造形が先に来ますけど地味に演技派だと思います。

それと個人的にツボだったのが松雪泰子さん。
ゴスロリっぽい服をまとい、淡々と喋る役柄なんですけど“ツンデレ”っぽい雰囲気が満載で最高なんです。残念ながら劇中で“デレ”はなかったですけど。

あと、その他も豪華絢爛な配役。
松田翔太さんや大杉漣さん、寺島進さんがチョイ役なんて贅沢の極みだと思いますよ。ゴージャスですね。予算が余っていたのかな。

ただ、役者さんの熱量に比べると演出は微妙。
中途半端なコメディ感が勢いを殺している感じがします。あと、リアリティを追求しない方向性も微妙。正直なところ、重量感があるから映える物語だと思うんですけどね。

まあ、そんなわけで。
物語よりも役者さんの熱量を楽しんだ方が良いB級アクション。髙嶋政宏さんにとっては、間違いなく“代表作”になると思いますよ。それが嬉しい話かどうかは別ですが…。

最後に余談として。
本作を鑑賞していて連想したのが『殺し屋1』。あれも暴力表現が激しいし、嗜虐プレイが大好きなヤクザが出ていました。こういう系統は一定の需要があるんですかね。ちょっと怖いなあ。
こたつむり

こたつむり