台湾の巨匠 ツァイ・ミンリャン監督デビュー作
台湾の首都・台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を描いた青春群像劇
冒頭のゴキブリのシーンだけで、ガッツリと心を掴まれてしまった
じめじめとした雰囲気の中、ふわふわとつかみ所の無い感じはかわらないけど、明確な物語性を求めるような作品ではないので全く気にならない
言わばパッとしない寡黙な男の子と、やんちゃで女性にも困らない男の子という正反対のキャラクターによる、主にその1人と2人(3人)の物語ですが、それぞれは僅かな接点のみで、絶妙な距離感を保ちながらじわじわと展開される
セリフも全然あるし音楽も使われているのは意外だったけど、息苦しい台湾社会に生きる人々を抑制された独特なタッチで描き、徐々に浮かび上がる孤独感や焦燥感は画面からひしひしと伝わってくるから見事である
希望がもてない危うい若者たちのもどかしい閉塞感を、静かな映像に落とし込む手腕
さらには、水の使い方からしてもデビュー作とは到底思えないほど卓越した映画センスに感服
それにしても、バイクぶっ壊してわちゃわちゃしてるシーンはあまりにも面白くて爆笑しちゃったし、割とシュールで笑っちゃうようなシーンもある
こういう映画のトーンとのギャップもたまらない
大都市になる前の小汚い台北の街並みも楽しめました
〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿76% 〉
〈 IMDb 7.6 / Metascore 82 / Letterboxd 3.9 〉
2021 自宅鑑賞 No.302 ザ・シネマ