kuzira

わたしを離さないでのkuziraのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2010年製作の映画)
3.7
私から奪われるものが目でも耳でも臓器でも
私から培った心までは奪わないで
私から育った愛までは奪われないで

当たり前に生産されて、当たり前に消費される

僕たち、私たちが生まれてきた意味が
臓器提供だけとしての意味ならば
もうそれ以上に苦しむことも
もうそれ以下に悲しみを味わうことも
できないし、する必要がないなどということ

どうして心は人間の中にあるのですか
僕等に何を気づいて欲しくて宿るのでしょう
望みのない人生に何を与えようとするのだろう

誰もが聞いても只の嘘に過ぎない作り話に
縋る思いで描き続けた魂は本当に無駄なのか

それとも、愛する人の存在を感じた時に
生きたいという願いが叶わないのであっても
それだけが生まれた人生の意味になれば
ひっそりと一人で終了を迎える事の怖さを
経験する事はないのかもしれないし

生と死に対しての答えは
"受け入れる"ことの潔さ、或いは覚悟
そして理不尽で、不平等な仕方のなさ

誰にも見届けられずにひっそりと終了したルース
キャシーの傍で見届けられながら終了するトミー

どんな終了を迎えるとしても
愛で生きて、愛で死にたいものです
kuzira

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