貧乏な若い夫婦は慎ましく暮らしていたが、ある日何気なく買った宝くじが大金を当てる。浮かれて喜ぶ夫婦だが、夫はその宝くじを落としてしまう…。
ジャック・ベッケル監督作品で、パリの下町三部作の第一作目。
パリの人々の人情と哀愁が随所に感じられる作品。
こういう、パリ下町の泥臭く生きる人々の話がそもそも好き。
主人公の夫婦が関わる町の人々それぞれが個性的な上に本当にそこら辺にいそうなのである。
噂好きでおしゃべり好きの女性や美人にちょっかいを出す男性など。
音楽がドラマチックなのもよかった。そこが滑稽さを際立てていた気がする。
滑稽なんだけど、よく考えたらこれはシリアスなのでは?と思わされるのが面白い感覚だった。
ぐーんとクロースアップをするのとか、思い出すときの回想みたいな、そういう演出もよかった。
あと夫婦の関係性もいい。モテる妻を心配しヤキモチをやく夫に対して、妻は夫を面倒と思いながらも彼への愛はある。
この「宝くじ紛失事件」が夫婦の関係にどう影響しているかというのも見どころであると思う。
原題の通り、アントワーヌとアントワネットという夫婦の物語なのである。