しろくま

ローマの休日のしろくまのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.0
2022.05.14/105/TV録画
欧州親善のためにローマを訪れたアン王女。多忙な公務に嫌気がさし、スケジュールをすっぽかして無断外出。ベンチで寝込んでいるところを新聞記者のジョーに助けられる。

ジョーに案内をしてもらいローマの街並みを巡り、束の間の自由を味わううちに恋に落ちるラブロマンス。60年以上前の作品なのに全く色あせない文字通り〝不朽の名作〟。新たな吹替でのテレビ放送で〝ローマの休日〟といえば池田昌子さんの吹替が有名だけど、早見さんもアン王女のキュートな感じや凛とした雰囲気を演じていて久しぶりに楽しく鑑賞することができた。

ただ、放送枠の関係で、カットシーンがあるのは仕方がないところだけど、今回大事なシーンがカットされていたのは残念。冒頭、ドレスの下で靴を脱いで足を掻いていたら脱いだ靴が転がって慌てて履き直そうとするお茶目なシーンは放送してほしかったね。お風呂から出たところを家政婦さんに見られて勘違いされて怒られるシーン、自由になって最初にサンダルを買うシーン、スペイン階段の花屋で花を渡されてつい〝ありがとう〟とタダで貰おうとするシーンがカット。極めつけは〝祈りの壁〟が全カットされたこと。第二次世界大戦の空襲の時にこの壁に祈りを捧げたら家族が生き残れたという逸話からこの壁に飾られているマリア像に感謝の札が貼られている所なんだけど、このシーンがなかったら、ストレス発散のためのお気楽ローマ観光の映画になってしまうんだよなあ。この逸話を聞いて、すっぽかした今日の訪問先が、孤児院だったことを思い出し、戻ることを決心する大事なシーンで、その後、アン王女が側近に語った〝王室と祖国に対する自身の務めを理解していなければ今夜戻ることはなかったでしょう。あるいはもう二度と〟につながる、王女としての義務と責任を感じ大きく成長するシーンだったのに。そして、今の世界情勢を考えると平和を願うこのシーンは外せないと思うけどね。
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