ミーハー女子大生

ローマの休日のミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
3.7
【あらすじ】
ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるアン王女は、欧州各国を親善旅行で訪れていた。
ローマでも公務を無難にこなしていくアン。
だが実は、彼女はこれまでのハードスケジュールで疲れやストレスが溜まっていた。
主治医に鎮静剤を投与されるものの、気の高ぶりからか逆に目が冴えてしまった彼女は、こっそり夜のローマの街へ繰り出すことに。
やがて、薬が効いてくるとベンチで寝入ってしまうアン。
そこへ偶然通りかかったアメリカ人の新聞記者ジョーは、彼女を一国の王女であることも知らずに自分のアパートで休ませるのだが…。

【感想】
何度観ても、ラストでグレゴリー・ペック扮するジョーが振り返る場面では、そこにアン王女がいてくれたらどんなに良いだろうと思わずにはいられない。

考えてみればこの映画、最初にアン王女がジョーに出会ってから別れるまで、 丸1日しかない。
たった1日の恋物語であるけれど、 観ている者は十分に感情移入できるし、 誰も彼らの恋物語を不自然だとは思わない。
別れ際のキスシーンも、格調を損ねることなく 不埒な印象を与えず、すんなり受け入れられる。

考えてみれば、これだけのことを成し遂げられたのは、 ひとえに脚本のできが良いからだろう。
完璧と言ってもいい。

けれど、この映画の完成度はやはり、オードリー・ヘップバーンという妖精を得てのことだったのかもしれない。
彼女には人間としての美しさがあった。
それは、彼女の晩年の活動が証明するとおりだ。

彼女の気品が最も象徴されているのが、 タイトルにした、最後のシーンだ。
確かに、美容院のシーン、真実の口のシーン、 船上パーティーでの大騒ぎのシーン、 それぞれに気品あるのだが、 最後の記者会見で、「どこが一番印象に残りましたか?」 という質問に対して、 お付の人が「いずれも」と答えるように促したにもかかわらず、 「ローマ」と言う彼女は本当に美しかった。

この映画は、ハッピーエンドではない。
でも、もしアン王女が国を捨てて駆け落ちしていたら、これだけ長く語り継がれる名画にはならなかっただろうし、 見終わった後に切ないけれど、清々しいという感動を与えることはなかったであろう。

今後も多くの人に観てもらいたい映画である。

ストーリー 4
演出 4
音楽 3
印象 4
独創性 3
関心度 4
総合 3.7

37/2023