おーたむ

ローマの休日のおーたむのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.5
恥ずかしながら、私はオードリー・ヘプバーンの出演作を見たことがなかったのですが、せっかくこうして映画を好きになったのに、それもなんだかなと思ったので、たぶん一番有名な(といっても、どれも有名でしょうが)ローマの休日を見てみることにしました。
良いですね。素敵な映画です。

初めて映画の中で動くオードリー・ヘプバーンを見ましたが、映画界のアイコンと称される理由が、よくわかります。
まだ少しあどけなさも残す本作のオードリーは、よく笑うし、好奇心が旺盛で、ところどころ世間の常識が欠けている部分こそあれ、知性もあり、気品も漂わせていて、アン王女というキャラクターの力もあるにせよ、とても魅力的でした。
適切な表現じゃないかもしれませんが、理想の女の子感が半端ないです。
こんな娘とデート出来たら楽しいに決まってるし、好きにもなっちゃいますよ。
脂の乗りきったグレゴリー・ペックもカッコいいですけど、それでも本作は、オードリー・ヘプバーンがいてこそ成り立った映画だと思いました。

話の方は、もはや、見てない人でも知ってる、ワンデイ・ラブストーリーの王道ですが、こういう王道には、人間の根源に響く力があるようで、あらすじがわかっていても、十分楽しめました。
この一日は、王女にとってもジョーにとっても夢のような時間で、けれど、夢のような時間は永遠には続かず、しかしだからこそ、そのひとときは美しく、この一日の記憶は、ずっと色褪せることのない思い出として、二人の心に残り続けるんだろうなあ…なんていうふうに想いを巡らすと、心がキュッとしました。

叶うことのなかった恋って、思い出すたび切なくなるけれど、思い出すたび胸をときめかせるものでもあると思います。
本作は、そういう恋愛のほろ苦さや甘さをささやかに感じさせてくれる、ビターチョコレートみたいな作品でした。
全盛期のオードリー・ヘプバーンと、グレゴリー・ペックが見せてくれる、おとぎ話のようなラブストーリー。
名作は、なるべくして名作になるんだなと、思わされますね。
おーたむ

おーたむ