やはり名作は名作としてのこりうるものが輝いているのだなあとしみじみ。タイトルこそ洋画を見始める人間がまっさきに知るようなものだろうが、私は私でずっと観ていなかったのです。
映画をすこしずつ知るようになって、良作の良さが昔よりは分かるようになっているような気がする、なので20半ばのこの歳で観て良かったと思う。
ローマの観光地を廻るスクーター2人乗りに、真実の口のくだりはあまりにも有名ですし、細かいところでのやりとりのユーモアが効いている。行ったはずのない記者会見の内容訊かれて弁解するところとか、マンションの管理人のおじさまが真面目にドアの前で鉄砲持って見張ってるとか。
ひとに挨拶する公務に辟易としていたアン王女が、ラストでは自らマスコミ相手に挨拶して回る展開はほんとうに素晴らしくて感動する。
切なく見つめ合う視線の美しさ、まなざしの美と粋、映画としての良さがいろいろ出ている。
別れのシーン、「何を伝えたら良いか分からない」「いまは何も言わないで」という掛け合いがチャップリンの街の灯のラストを彷彿とさせる〝何か〟が出ていてめちゃくちゃ泣いてしまった。
名作はなんとなく敬遠しがちなのですが、観て見ると「なんで観なかったんだろう」と思うことばかり。それはまるでお風呂に入ることに似ていると思います。私は面倒くさがりで、入るまでがいちばん苦手なので。