いわやん

肉体の門のいわやんのレビュー・感想・評価

肉体の門(1964年製作の映画)
4.5
鈴木清順監督。
野川由美子主演。

戦争が終り、東京のスラム街でたくましく生きる売春婦達。

「せん」を頂点とするそのグループは、掟があり「男とは、タダで寝ない」「もし掟を破ればリンチ」。

そのグループに、米軍人にひどい目にあった「マヤ」と言う18の少女が転がり込む。

それで、毎日男を求めてグループ5人頑張って生きていくが、あるとき軍人崩れの伊吹と言う男が、傷を負い転がり込んで。武骨で男らしい伊吹に、5人はそれぞれ想いが生まれる。で、5人のひとりの「町子」が掟を破り・・。

主人公のマヤの伊吹に対しての心の葛藤から女の業の部分が、独特のカット回しで素晴らしく表現されていて、同じ感情を持つ「せん」の嫉妬なんかも圧倒的な画面からの熱で感じられました。

主人公演じる野川由美子は、こればデビュー作なんですが、演技に力を感じて、裸のシーンにも手を抜かず、まさに体当りで新人とは思えない風格さえ感じられました。この時代の女優が、皆さん息が長いのは、最近の女優とは新人から気合いの入り方が全然違うのが良く分かります。

鈴木清順版は、戦後の荒廃した街で5人のそれぞれにイメージカラーをつけて、視覚的に色彩豊かにして売春婦と言う立場を暗いものにせず、ヒーローのような像を出してます。

五社英雄版は、グループを愚連隊のようにして、実録ヤクザ路線物寄りでしたが、鈴木清順版は、そのトッピとも言える画面構成と色使いで女の業を中心に恋愛ドラマに仕上がっていて。
私は、鈴木清順版の方が良いと思いました。

ときどき、セットバックがちゃちになったり、牛を解体するシーン、ラストでセットから撮影所の上までカメラを引くセンス、鈴木清順監督らしくてたまりません(笑)

ちなみに、特撮好きな私は。
今回も「レッドバロン」「シルバー仮面」のレギュラーで活躍した玉川伊佐男、「レインボーマン」他、多彩な作品でゲスト出演された黒人のチコローランドを確認しました。