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最低のkoheiのレビュー・感想・評価

最低(2009年製作の映画)
3.6
今泉監督の短編『最低』『微温』『足手』が収められたDVDを借りて一気に観た。

最低
彼氏と同棲している女性。ある日その女性のストーカーから、部屋を盗撮したDVDとともに彼氏の浮気を匂わすような文言の手紙が送られてきて…。
安定の芹澤興人(3作ぜんぶに出てた…)。今泉初期短編はもうぜんぶほぼ同じ話といっていい感じで、「なんでこんなやつがモテるんだ?」という主人公が叶わない片想いに身を捧げたり、なぜかいろんな人に言い寄られたり、二股相手に決断を迫られたり、そんなんばっかやってる。なによりも「好き」が映画を駆動させていて、その理由は二の次(もしくは描かれない)というのは潔いとも言えるのか。リアリティを突き詰めている時期だったと思うのだけど、いまいちその「好き」にリアリティは感じないんだよな。

微温
二股をしている男性が主人公で、一方の相手からもうひとりの彼女と別れてよと言われ…。今泉映画では主人公は浮気をする。悪びれる様子もなく。びっくりするくらい能天気。なぜかモテる感じも含め、この辺はまじで理解できない。その理解できなさが面白かったりもするんだけど。
今泉映画は作風は昔と今でほぼ変わっていないと思うのだけど、役者はやっぱり素人っぽい感じからプロに変わってるし、顔のよさもまるっきり変わってる。そうなると「なぜこいつがモテるんだ?」的な今泉映画独特の要素は薄まっていくわけで、『街の上で』あたりでは若葉くん(が演じる役柄)かっこいいのに別にそんな目に見えてモテてはないし、むしろ芋っぽくなっていく。これ不思議なんだよな。

足手
めずらしくちょっとだけフェティシズムを感じる映画。ほんとちょっとだけだけど。ロメールと似てたりしつつも今泉監督ってあんまり女性をフェチで撮ろうとしない人だなとは思っていて、でもやっぱり女性が魅力的で、それがどう成し遂げられたものなのかわからないのが疑問。またもや芹澤さん主演。けっこう芹澤興人って若葉竜也に似てるな、とか思ってきた。喋りかた、たたずまい。ナカゴーの川崎まりこさんの表情が良かった。
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