Kou

ハロウィンのKouのレビュー・感想・評価

ハロウィン(1978年製作の映画)
4.3
《毎週 月(水)金 21頃更新》
友人の勧めでホラーを見始めはや数年。
ホラー映画独特のノリにも慣れ
だいぶ楽しめるようになってきたので、
ついに満を持して(アメリカ三大ホラー)
の一つに手を出してみることに。
結論から先に言うと、今まで見てきた
ホラー映画の中で一番面白かったです。



〈あらすじ〉
1963年、ハロウィンの夜。ハドンフィールドに住むジュディスが、実の弟のマイケルに殺されるという事件が起きる。わずか6歳の少年の犯行に、裁判所は「マイケルを精神病院に隔離し、21歳になったら改めて裁判にかける」という判決を下す。しかし、担当医のルーミス医師は、マイケルは善悪の区別がつかない非常に危険な人物だと警告する。だが、その話に耳を傾けるものはいなかった。
そして15年後のハロウィン前夜。なんとマイケルは精神病棟から逃げ出してしまう。そしてハドンフィールドに再び、ヤツが帰ってくる…!



ハロウィンという楽しい行事を地獄に変えた
ジョン・カーペンターはまさしく天才。
本作における大きな魅力は大まかに分けて4つ。
①音楽②キャラクター③カメラワーク④エロ



①これはジョン・カーペンター最大の偉業「HALLOWEEN THEME」のこと。ハロウィンといえばまずこの曲が一番にあがるくらい有名だし、最近ではゲーム『Dead by Daylight』に本作の音楽やキャラクター、フィールドが使われており、若年層にも受け入れられていますよね。



②白いゴム製のハロウィンマスク。紺色の作業つなぎ。手には一本の包丁。そんなシンプルながらも洗練された殺人鬼には「動機」も「良心の呵責」も「善悪」も「言葉」もない。そんな何ひとつない、何も持っていない殺人鬼が、無言で一歩一歩じわじわ追い詰めてくる。
その上、撃たれても、刺されても死なず、霧のように消えるんです。あくまで人間なのにも関わらず。現実と非現実の間のようなミステリアスな存在だからこそ、40年経った今も人気の秘訣なんでしょうね。



③ホラーでありながらサスペンス映画顔負けのカメラワーク。獲物を狙う殺人鬼の視点や、顔を映さずブギーマンの背中だけを映したカメラワークは感激もの。意図的に緊張と不安を生み出していることがよくわかります。

「ただ見るだけ」
そのシンプルさゆえの不安を1時間じっくりと描くことで、ヒロインと観客に不安を与えてきます。天気も良く、視界の晴れた郊外に、一人たたずむブギーマンの異様さたるや。ほんと、ブギーマンに見つめられるたびに思わず「うわ〜…」と声が出てしまうほど絶妙な位置にいるんですよ。これはぜひ直に観て確かめてほしいところですね。



④皆さんこんなホラー映画観たことありませんか?
・セックスに興じる若者は無惨に殺される
・処女はラストガールとして殺人鬼と決着をつける
・殺人鬼は一度倒されても復活する
そんなホラー映画における「ルール」もこの作品から。だからこそ、昨今の薄まったエロシーンとは違い、考察できるエロがそこにはあるわけです。

例えば、姉への性的興奮と殺人衝動が結びついてしまったところや、包丁を男性器のメタファーにしているところなど、殺人の動機は最後まで語られなくても、「こうなんじゃないか」「ああなんじゃないか」と考察できる(含み)を持たせているわけです。そこが映画好きにはたまらないんですよね。



長くなりましたが、皆さんも
ぜひ喰わず嫌いせず観てみてください。
三大ホラーの名は伊達じゃないですよ。



2019年4月10日 9本目
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