垂直落下式サミング

ゴジラの逆襲の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴジラの逆襲(1955年製作の映画)
4.3
『ゴジラ』のヒットをうけて、製作期間3ヶ月に満たない過酷なスケジュール下にて製作された続編であるため、確かに印象が薄く、話の展開はなんとも言い難い。
完璧に物語を一筆書で綴り円環を閉じてみせた第一作目にくらべれば当然何段か落ちるのだが、「巨大な怪獣同士が戦う」というのをはじめてやった映画であり、ヒット作品の続編という役目以上に、文化的な意味合いはあまりに強い。これがあったから『ウルトラマン』の発想が生まれたといっても過言ではないし、海を越え『パシフィック・リム』が受け継いだ日本の怪獣映画の方向性を、この時点で既に打ち出していたということに重要性があるのだ。
なんたって、推しのアンギラスが初登場した作品を私が悪く言うわけがない。怪獣が飛んだり跳ねたりする『ゴジラファイナルウォーズ』を除けば、本作のアンギラスが一番俊敏。この生々しい戦闘は、後にシリーズ化されるゴジラ映画にない独特な世界観がある。カメラスタッフが撮影スピードを間違えたことで生まれたシーンらしいが、アンギラスは四足歩行ならではの獰猛な仕草をみせてくれるし、その攻撃に機敏に反応するゴジラの動作もまた動物的だ。
些細なことだが、このアンギラスは目つきがやばいし、いつもは「もごーん」と鳴くのですけど、今回は聴きなれてるのとは音程が違って「もおおぉーん」だったので、僕の好きな鳴き声じゃなくて残念。
アンギラスは、『怪獣総進撃』や『ゴジラ対ガイガン』では、かなりのガッツとタフネスをみせるが、この映画では首が据わっていないので、実質まだ赤ちゃん。よってゴジラは赤ちゃんを手にかけた人間の屑!背後から襲うのは確かに卑怯かもしれないが、しょーがねーだろ赤ちゃんなんだから。アンギラスをバカにするやつは俺が許さない。もごーんなのだ!