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ゴジラの逆襲の3104のレビュー・感想・評価

ゴジラの逆襲(1955年製作の映画)
3.2
『ゴジラ』の大成功を受けて急遽制作され、前作から半年弱のスパンで公開されたシリーズ第2作。
急いで作った影響で物語に深みはなくアンバランス(後述)だが、特撮自体はなかなかどうして頑張っている。勇猛な航空機や戦車、大阪城のひび割れ、淀屋橋駅の浸水等々。しかし大人になってからゴジラシリーズ・・というより東宝特撮を見返してみると、臨場感というか現実感のようなものを与えていたいちばんの要因は「音」だったのだと気がつく。建物が壊れる音、飛行音、銃撃や爆撃が当たったときの音・・。

かのように特撮は奮闘しているがストーリー・全体の構造は少し難があり。序盤でいきなり二大怪獣を出しさっそく戦わせる→怪獣の分析や襲来時の対応検討(ここで前作のメインキャストの山根博士を出し“続きモノ”であることを提示するのだが志村喬の出番はここだけ。はっきり言って無駄遣い)、その後再び2匹が襲来し・・までは悪くないのだが、なんと今回の“対戦相手”ことアンギラスは、大阪市内での第2ラウンドであっさりと退場してしまう。映画全体でいうとほぼ真ん中あたり。残り40分ほどの時間は残ったゴジラを葬るための理由探しのためだけに存在するといっていい。

以降の怪獣映画ではまず見られない構造。当時は方法論も蓄積されていないだろうし致し方がない面もあるとはいえ、映画としてはまことにアンバランスである。ゴジラとアンギラスの激闘は予期せぬ撮影ミス(?)のおかげもあり迫力があるのだが、やはりゴジラだけになった後半は物足りないし観ていてダレてしまう。千秋実、小泉博、若山セツ子らが織りなすドラマが決して駄目なわけではないが、彼ら彼女らがいくら頑張っても物語は再び盛り上がることはないのである。囚人が淀屋橋を逃げるあたり〜アンギラスが負けて燃やされるまでがこの映画のピークであろう。

とはいえ前作同様戦争の影をきっちり背負いながら、そして出来る範囲で「続編」であろうとしたその奮闘や姿勢は評価したい。次作『キングコング対ゴジラ』からカラーになるに伴い、シリーズは明確に「戦争」を捨て去るのだから。それが良いか悪いかはさておき。


しかし此花区に上陸して北浜、淀屋橋、中之島経由で大阪城で決着と、短時間でなかなかの移動距離だ。六甲山に落ちてその後すぐ中之島〜大阪城に移動していたゴモラほどではないが。
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