富樫鉄火

夜の女たちの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

夜の女たち(1948年製作の映画)
4.0
夜の映画大会@神保町シアター。
上映時間が溝口にしては短い。
お得意の長回しが意外とあっさりしており、また、田中絹代が転落する過程がすっぽり抜け落ちている。
もしや、占領時代だけに、資材の統制で、十分な長さで製作できなかったのではないか。
しかしとにかく、いかにも溝口らしい題材で十分見せるし、終戦直後の大阪の町が見事に映っている貴重な映画。
田中絹代がうまいのはもちろんだが(裸足で塀を乗り越えるワンカットがすごい)、あの時代によくこれだけ描けたと思うほどきわどい場面がいくつかある。
高杉早苗は、戦前は中途半端な脇役が多かったが、これは実に立派で見応えがあった。
大澤壽人の音楽がベートーヴェン《運命》をモチーフにしており、面白かった。
富樫鉄火

富樫鉄火