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ゴジラ2000 ミレニアムのKuutaのレビュー・感想・評価

ゴジラ2000 ミレニアム(1999年製作の映画)
2.3
1999年公開の23作目。98年のエメリッヒ版へのファンの不満を背景に、VSデストロイア以来4年ぶりに復活したゴジラ作品。監督はVSモスラ、メカゴジラ、デストロイアの大河原孝夫。

初代の様な社会派メッセージの強調、インターネットを題材にした「現代的な」脚本、発展途上なCG合成…まさに時代の狭間で、残念ながら色んな要素が滑り倒している。ダメな人間パートが大半を占める上で、怪獣バトルもイマイチ。

せっかくのリブートなのにゴジラが主役になっておらず、敵怪獣の相手役のような扱いに終始しているのが一番ダメな所。

行き過ぎた科学への警鐘、人間への戒めといったシリアスな要素を入れようとしているが、人間パートはUFOの描写に手一杯。しかも各シーンが断片的でほとんど連動せず、映画になっていない。唐突な心情吐露ばかりで人物の内面も描けていないので、彼らの行動が心に響かない。音楽もパッとしなかった。

初代の山根博士的な怪獣保護スタンスの篠田(村田雄浩)とゴジラの死を望む宮坂(阿部寛)を対立させようとしているが、噛み合っていないし、投げっぱなし。その後もエネルギー政策批判、エイリアン侵略もの、怪獣プロレスと展開が放り込まれる。一つ一つを消化しきらない乱暴な進め方が気になる。

そもそも、終始UFOのCGが酷いので世界観に入り込めない。真面目に見ようとする気力を、あのUFOのビジュアルがじわじわと奪ってくる。

冒頭、久しぶりのゴジラ登場なのに溜めが足りない。CG云々以前の部分であり、制作側の「ゴジラ映画を撮る」基礎体力の衰えを感じた。ただ、灯台に近くに佇む不気味さはなかなかよかったし、光に反応する展開や、嵐の中で第五福竜丸チックな船を咥えるビジュアル、山陰からの上半身と、初代オマージュはたくさん入っている。トンネルを逃げる所や根室襲撃は見応えがあった。

ゴジラの目の前に車が止まり、息で車のガラスが曇る、割れる、という演出をやっているが、ここもCGが不自然で乗れない…。ゴジラの目の微妙な可愛さ、石やUFOの合成の粗さ、異様な急旋回を見せるヘリや戦闘機など、詰めの甘いビジュアルが目立つ。

そもそもゴジラがどんな扱いをされてきた世界なのか説明が無いのはあまりに客を舐めていると思うが、民間のゴジラマニアが「予知ネット」を作って独自にゴジラを見張り、情報を企業や国とやりとりしている。この設定自体は面白い。後半全く出てこなくなるのがもったいない。

東海村原発の緊急停止。全編通して編集が緩く、人間にも怪獣にもスピード感がない中、この描写だけはキビキビしていてちょっとテンション上がった。今作公開前に実際に臨界事故を起こしている。自衛隊の戦闘シーンは、先述したCGの不自然な動きも相まってリアルに感じられなかった。娘が航空機の爆音でうずくまる場面は、怪獣と戦う自衛隊が人間を脅かす可能性を示している。

「地球、破壊、征服、抹殺、支配、永遠、革命、王国」と、とても分かりやすく内なる野望を見せてくれるエイリアンさん。かわいらしい。パソコンが電源無しで動く感じは「リング」風?大気組成の変化はレギオン、敵を取り込もうとするのはイリスのパクリなんだろうか。

「岩塊が、飛び立ちましたぁ!」「明日の天気は…快晴です」。事態の悪化を喜んでいるように見える佐野史郎演じる宮坂は、科学者の気持ち悪さ全開な感じで良かった。他の演者は全体的に自分が何を演じているのかよく分かってないのでは、と言いたくなる妙なテンションだった。

前半は見せ場もなくただただ鈍重だが、後半の人間パートのグダり様はかなりのレベルに達しており、笑えてくる。下手に未来人とか出してない分、一定のシリアスさは保たれており、よりシュールなことになっている。

まず、由紀(西田尚美)の心変わりのきっかけがよく分からなかった。自衛隊が爆破直前のビルへの民間人の立ち入りを許すのもメチャクチャだし、由紀が子供を連れて行ったり来たりする下りと、その後の篠田のダイハードっぽいビル脱出パート(効果的とは到底思えない新型爆弾、暴走する片桐と止めに入る宮坂など)は、歴代ゴジラの中でも屈指の酷さだと思う。国と民間の矛盾ってことなんだろうが、私は何を見せられてるんだろう…と意識が遠のいていった。親子の再会シーンの間の取り方、皮肉交じりの「なんとか生き延びたよお」。尽く乗れないテンションだった。

〆の怪獣プロレスすらイマイチで、ゴジラにピンチらしいピンチがなく、勝った後のカタルシスがない。余裕のある横綱相撲という感じで緊迫感がなく、ほぼほぼ熱線撃ったら勝っているという。UFOを尻尾でどつくゴジラ、真横から来たUFOに吹っ飛ばされるゴジラ。シュール過ぎる。タコ宇宙人には絶句した。

(この間人間達は「仕事は終わった」とばかりにボーッと立ちっぱなしで、戦いが終わると実感の伴わない教訓を呟きだす。片桐の展開、心情説明が飛びすぎていて、納得しろという方がおかしいと思う)

最後の投げっぱなしエンドは当時の世紀末な世相やガメラ3を形式だけ真似したのだろうか。唐突な「リベンジ」という台詞は、公開が99年末と考えれば松坂の流行語を引っ張ってきたんだろう。ゴジラの体長55mという新設定は松井から逆輸入したらしいが、安直な印象は拭えない。

オルガは現代的な見た目(エメゴジ意識らしい)と不釣り合いに鳴き声は結構かわいいし、全体になんかのっそりした感じが良かった。新宿のミニチュアはどれも力が入っていた。最後の爆発はちょっとだけシン・ゴジラの熱線を思い出すような景気の良さだった。

総じて、まともな映画としてはまっったくお勧めできないが、シュールなUFOや、人間ドラマのメチャクチャっぷりは相当なレベルで突き抜けており、笑いの最大瞬間風速の高さは評価したい。47点。