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Kids Return キッズ・リターンのOtunのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
4.4
15年振りくらいか。再見。北野武監督作『キッズリターン』。

間違いなく、青春の物語だと思う。
まだ何者にもなっていない、なれていない自分。もて余す時間。
先生の人形を作ってからかったり。ポルノ映画を観るために学生服の詰め襟折ってスーツのふりしたり。
ケンカで負けたからボクシング始めたり、一人始めたから、なんだかもう一人も始めちゃったり、なんだか後から始めた方が強くなっちゃったり。
そんな、なんだかの連鎖で日々が更新されていく。

そして、確か故淀川長治さんが生前キッズリターン評で言ってましたが、二人が乗るあの自転車。
マサル(金子賢)がハンドルを握り、シンジ(安藤政信)がペダルを漕ぐ。ふらふらふらふら。
この不安定さこそが、青春だと。
ラストは普通に二人乗りになっています。
二人は挫折し、そして、大人になってしまった。
そこにあるのは希望か、絶望か。
大人になり、笑って「今」を受け入れている二人に、私は希望めいた物を感じました。

廻りの登場人物の成長や、変化の見せ方も秀逸。全てが切ない。

例に漏れず大人になってしまった私も、久しぶりにキッズリターンさせて頂きました。
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