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北のカナリアたちののらのレビュー・感想・評価

北のカナリアたち(2012年製作の映画)
2.5
ある殺人事件をきっかけに吉永小百合演じる主人公が過去と向かい合う事で事件の真相が明らかになっていく話で、吉永小百合が40代と60代の主人公を1人で演じている。

驚くべきは実年齢に近い60代の方が違和感があるという点にある。変な話だが60代を演じる際のメイクをもっと老けさせる必要あったのではないだろうか?

また登場人物が回想シーンで、その時自分がどう思ったのかを一々ナレーションで語らせるのは微妙で、そういった心象の描写は映像だけで良いはずだ。また仲村トオルのエピソードは必要なんだろうか?主人公が仲村トオルに惹かれた理由は話全体に影響を与えないので無理やり入れている感が強い。

話自体はミステリーとしては悪くはない。ただ主人公のかつての教え子にインタビューすることで事件の全体像を浮き彫りにするという手法は映画よりテレビドラマ向きな印象をうける。テレビであれば、すべての登場人物をもっと丁寧に掘り下げることが出来たはずだ。

吉永小百合の安定感と森山未來の演技は見事だが、全体的にカメラアングルがギクシャクした感じを受ける。木村大作が撮影している事になっているが、木村大作にしてはピントが甘いというか映像としてインパクトのあるシーンが皆無で、原作のもつ熱量の残滓しか本作には宿っていない印象を受ける。
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