ほーりー

夫婦善哉のほーりーのレビュー・感想・評価

夫婦善哉(1955年製作の映画)
4.3
自分の中の格言に、「美味しそうな食べ物が出る映画はいい作品」というのがあるが、本作もタイトルの善哉はじめ、ライスカレー、関東煮、天麩羅、昆布の佃煮と結構な頻度で出てくる。

織田作之助原作による、森繁久彌、淡島千景、豊田四郎監督のゴールデントリオによる傑作人情劇。

昭和初期の大阪が舞台ながらも、森繁扮する柳吉のヘタレっぷり、淡島扮する蝶子の気性の強さ(飲んだくれた柳吉に対するヴァイオレンスが凄い)が、現代の我々でもどこか共感できるような作品になっている。

カメラワークも際立っており、特筆すべきはラスト、いそいそと歩く二人にゆっくりと天から舞い降りてくる雪が美しく、思わずハッとした。

また脚本も伏線のはり方も見事で、詳しくは書けないが、柳吉の娘と仲良くなりたい蝶子の想いと、ラスト近くに発生する事件とのリンクのさせ方が実に巧い。

役者では、主演二人は勿論、山茶花究、小堀誠、浪花千栄子、田中春男と一癖ある芸達者が勢揃いしているが、蝶子の父役の田村楽太(これ以外の作品知らない分)が印象深い。