c

プロヴァンス物語/マルセルのお城のcのレビュー・感想・評価

4.0
前回「マルセルの夏」でプロヴァンスの丘に魅了されたマルセル。
あの幸せな夏の時間が過ぎ、街に戻って来ても、ずーーーーっと未練を引きずった生活を送っていたが、なんと毎週末、丘で過ごせる様にしてくれる両親!
だいたいこういう願いって叶わず、非力な子供は黙って耐えるだけなのに!あんなに恋い焦がれている丘にまた戻って来たマルセル!


この映画の素晴らしい所の一つとして、人物の描き方が丁寧。
厳格で真面目な公務員の父だけど、母が子供を甘やかしてしまう時には笑って目を瞑るような夫婦仲の良さもあって。
デップリ肥えた伯父は、癖はあるが明るくていつも子供達にプレゼントを持ってきてくれる。
無神論者のマルセルの父に神を信じさせようと諦めず、2人の親戚関係は長年の友のように馴染んだ関係へ。

またマルセルの親友リリは、前回貰ったマルセルの服を再会の出迎えの時に着ていたりと、素朴で温かいエピソードが本当にいい。


前回の「マルセルの夏」とはまた趣が違った映画になっていて、今作は更に面白くて 、いくつか事件があるのも良く出来ていてハラハラもあり面白い!
こんな濃い時間をたった99分の映画に詰め込まれているのもすごい。

でも最後は、永遠にも思えた丘での家族や友人に囲まれた楽しい日々は、人生の中でのたった一瞬の時間だったんだと気付かされ、せつなさが胸に迫って来る。
「これが人生だ
一瞬にして喜びが悲しみに変わる」
ガーデンテーブルを囲んで、ランタンを灯し、みんなが笑って寛いでいるdinnerの風景が目に焼き付いています。
いい映画でした。また再観賞したい。
c

c