みおこし

コーラスラインのみおこしのレビュー・感想・評価

コーラスライン(1985年製作の映画)
3.9
ブロードウェイで新しいショーの興行に向けて、過酷なオーディションが行われている。実力のあるダンサーたちの中でも選りすぐりのメンバーが最終選考に残る。そんな彼らにディレクターのザックは「今日は変わったオーディションをしたい。ありのままの君たちを見せてくれ」と伝える...。

ブロードウェイ版のオーディションを描いた『ブロードウェイ♪ブロードウェイ♪』は観たことがあったのですが、肝心の本編を観たことがなかったので鑑賞。
コーラス・ラインとは、コーラスの人たちがそれ以上前に出て踊ったり歌ったりしないように示された線のこと。つまり、前にいるスターたちと一線を画しており、駆け出しのダンサーたちはまずコーラスに選ばれることから目指すのだそうです。
コーラスでさえ、選ばれるまでにこんなに熾烈な競争を経ているという背景、素人の私は全く知らなかったので圧巻でした。物語はほぼ舞台の上で展開され、彼らの壮絶なオーディションを半日しか描いていないのにとにかくハラハラドキドキ。あの大人数で同時にフリを踊って、舞台監督や振付家は瞬時に「この人!」とガンガン選抜、数十秒後には合否を伝えられて終了。なんてシビア...。
バレエ、タップ、ジャズ...あらゆるジャンルの踊りの審査が次から次へと展開されるので、今まで観たダンスシーンの中でも指折りの迫力。同じようにミュージカルのダンスシーンが特に好きな人は必見です!

ダンスシーンのみならず、オーディションに参加するダンサーたちそれぞれのドラマもまた秀逸でした。長らく自分の性別に悩んできた者、整形をして完璧な肉体を手に入れた者、子供を養いながら30代手前にして最前線で活躍する者、そしてかつての大スターだがあえてこのコーラスオーディションに参加する者...。皆「踊り」を武器にしているものの、境遇は人それぞれ全く異なります。人生をかけてオーディションに臨む彼らの姿に胸が熱くなりました。

ブロードウェイ版はあまりにも有名ですが、個人的にはこれを映画化したリチャード・アッテンボロー監督に脱帽...!マイケル・ダグラス以外ほぼ全て無名のキャストで構成されているのに、一人ひとりの場面に釘付けになったし、展開が読めず全く飽きませんでした。様々なドラマを目にした後に、あの圧巻のフィナーレ。'One'は何度聴いても名曲!!どうしてそれぞれの動きが完璧な上に、一糸乱れず踊れるんだろう。プロのダンサーの凄まじい努力の影が垣間見えました。
ブロードウェイ版が夏に来日とのことなので、ぜひ観に行きたくなりました。永遠の名作はやっぱり違う...!
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