まりぃくりすてぃ

我が家の楽園のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

我が家の楽園(1938年製作の映画)
3.0
元プア・リッチなう、の立場にいた監督による小ずるいルサンチマン利用劇、かな。笑える場面が四、五ヶ所あった。六ヶ所以上はたぶんなかった。
「金よりも自由を」と言い張りつづける“我が家”の者たちはいったい食費をどうやって稼いでるの? なぜ偉そうに黒人夫婦にばっか給仕させるの? さまざまな「自由」を得よう守ろう(例・火薬をいっぱい作りたい)と思うんであればなおさら金は必要でしょうに、そこんとこシナリオが粗い。言いたくないけどこの映画だって私はチケット代払って観てるしね。
資本家カービーが態度軟化した経緯も、う~ん強引(←ハーモニカの使い方も期待を上回らず)。

息子トニー役のジェームズ・スチュアートが最適な動きに徹してくれてて全瞬間完璧に美しくて機微の出し方も巧く好感度高すぎる、そのおかげで最後まで映画が安定してただけ。最大貢献イケメンへのルサンチマン(彼をいじめすぎてる)まで感じさせちゃう、斜めな映画。そういうのがいいって人もいるだろうけど。
カービー役のエドワード・アーノルドの良さがジェームズに次ぐ。恰幅の良さと演技の意外な繊細さの、すばらしい衝突。線香花火的な。
アリス役のジーン・アーサーは「美しくて活き活きしてた」という以外印象に残らず。その父、かなりどうでもいい(←脚本・演出・演技のどれが悪いのか、映画館出ちゃったらもう判然とせず)。