えりーぜ

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のえりーぜのレビュー・感想・評価

4.2
びっくりした、名作だ。
色々書こうと思ってたんだけど、映画の中で2人がほとんど説明してくれたから、書き加えることなし。

インテリ美女に対する引け目とか、それを隠そうと必死に幼稚な哲学をひねり出す様子とか。彼女の方はそんな彼をキュートに感じてるんだけど、それもなかなか男としてはプライドが傷つくところで。
彼女もポンポン矢継ぎ早に持論を繰り出しながら、引かれた嫌われるって不安になったりして、色々ややこしく考えて大人っぽく分かった風を装うけど、感情はもっとずっと単純で。
続編はこれから観るから2人がどうなるか知らないけど、一晩の様子を見る限りでは、一晩だからこそ成立したロマンティックな関係に思えたな。あまりに価値観が違いすぎる。たった一晩でもそのすれ違いと2人の心中に生まれる違和感は明白で、それを一晩だからと押し込めたにすぎない。一緒になれば、いつかお互いに疲れてしまうだろう。
だから本当は一晩限りの美しい思い出で終わらせたらよかった。でも頭でそう思っても、気持ちはそう単純じゃない。
確かに2人はあまりに違ってて、ただロマンティックな幻想に酔っただけかもしれない。約束なんて後悔するかもしれない。
でも後悔したっていいじゃないか。幻だって妄想だって夢だっていいじゃないか。
それだけじゃないから心が惹かれて、引き裂かれるように別れが痛いんだ。
この美しい関係が醜く崩れたとしても、それでも未来を作ろうとするその姿勢こそ美しいと思うよ。愛なのかもって思うよ。