Maki

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のMakiのレビュー・感想・評価

4.1
全編が詩的で情緒的。
ほぼ二人の会話だけで物語は紡がれていくのに、一つ一つのセリフが哲学的だったり、時には甘美であったり、幼い頃に誰もが何となく考えていそうなことを言語化していたりと、全てに惹き付けられる。小説を読んでいる気分になった。

二人は気が合い、紛れもなく惹かれあっているのにも関わらず、必要以上にお互いの詮索をしないところにもキュンとした。

また、女性は自分自身の人生を、"身を横たえ死を待つ老婆と同じ"だと感じているのに対し、男性は、"大人になる方法がわからず毎日メモを取りながら生きている13歳と同じ"だと感じていたりと、この二人の人生の捉え方が全く違うというのも面白い。

終わりがあるからこそ美しいというのは
まさにこの作品のこと。
スマホやSNSが当たり前ではなかった
この時代だからこその"一期一会"感がまた
儚くて、どこか羨ましく、尊く感じた。

私もこの2人のように自分の哲学や
信念、価値観を持った大人になりたい。
Maki

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