わかめ昆布

古都のわかめ昆布のレビュー・感想・評価

古都(1963年製作の映画)
4.1
双子役で二役を熱演した岩下志麻に感動!
若く美しくそして素晴らしかった。
二人の所作や表情の作り方が全然違い、女優としての器量を感じた。

見た目は全く同じなのに、捨てられ子の方は何不自由なく幸せに暮らしており、元の鞘の方は父母に死なれ…といった危ういバランスの境遇が京都の街や人に見事にマッチしている。

含みある表現や街の雰囲気には、不穏な空気がゆるやかに漂って底知れぬ怖さが。個人の解釈次第ですね、と委ねられ落ち着かない感じ。


それぞれの人生においての疑問や本音はほとんど語られることなく、表情とウイットの富んだ言葉にのみ散りばめられる奥ゆかしさと云ったら…

少しアバンギャルドさを含みつつも美しい洗練されたカットは見応えあり。
美術も素晴らしく、和室にペルシャ織が掛けてあったりとハイレベルなセンス。

京の祭り・歴史の説明もナチュラルに挟まれ心地よい。時代祭に行ってみたくなった。

岩下志麻は色々な役柄で楽しませてくれる、美しいだけでなく実力派の女優だと判る作品の一つ。
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