Yukiko

この自由な世界でのYukikoのレビュー・感想・評価

この自由な世界で(2007年製作の映画)
4.4
2020年2月16日
『この自由な世界で』 
      2007年イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン制作
監督、ケン・ローチ。
この監督さんの『私はダニエル・ブレイク』が良かった。

イギリス。
アンジー(キルストン・ウェアリング)は息子ジェイミーを
自分の両親に預けて働いている。夫はいない。
職場を辞めさせられたのを機会に、自分で職業紹介所を
始める。
正当に外国人の労働者を企業に紹介していたが、次第に
違法なやり方に手を染めていく。


労働者事情と移民問題の現実を描くケン・ローチ監督作品。

ドイツの移民問題なら映画が幾つかあるが、イギリスの
移民問題なんて考えたこともなかった。
そこでネットで調べると、イギリスのEU脱退はこの
移民問題も関連していることを知る。

EU加盟国内であれば自由に行き来できて、どの国の
仕事でも加盟国内であれば自由に選択できるとのことだ。

EU加盟国内からの移民で一番多いのはポーランドからの
移民で、それだけ賃金格差があり、イギリスは高給とのこと。
高いお給料と良い生活を求めてイギリスにやって来る
増える移民者に、住むところが不足するだけでなく、
福祉国家のイギリスは病院での無料治療や、家族で移住する
移民の子供の学校入学も建設が間に合わない(学費無料)。

それらの費用はイギリス国民の税金で賄っており、本来の
使用目的の箇所に税金が使われず、移民問題に税金が
使われることへの不満が国民にくすぶっていたとのことだ。
更に、EU圏外からの就労者も存在する。

それらのことも背景に、この映画は今がチャンスと移民者
に仕事を紹介し、ピンハネして自分の懐に入れてしまう
不届き者の主人公……精神がタフな主人公を描いている。

起業する逞しい女性は、めげない。
人を利用して騙しても痛みを感じない。
お金が第1……なのでしょうか?

彼女を駆り立てるものは虐げられた女性の奮起、かな?
この逞しさがあってこそ、成功するのかも。
Yukiko

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