まぐ

グーグーだって猫であるのまぐのネタバレレビュー・内容・結末

グーグーだって猫である(2008年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

猫とボサノバってすごく合う。

んーー、猫のように淡々としてて雰囲気のある映画なのだけれど、自分は飲まれなかった。

●全体的にキャラの物分かりが良すぎる。普通の人間なら浮気した方もされた方ももっと色々思うところあるだろうし、変な女の説教1つで考えを改めてチアなんかしない。コメディー色が強い作品なら気にならないこともあるがこの映画に関しては中途半端で、リアルなことをすごくリアルに描いている分、展開の唐突さが浮き彫りになってしまっている。
●漫画原作だから仕方ないかもしれないが、映画として見るとテーマがわかりづらい。エピソード毎にテーマが散在しているように見えるし、それを回収できていない。
●これは個人的にいただけない部分かもしれないが、リアルな話が途中でファンタジー路線に切り替わるのは受け付けない。スピルバーグのAIを見た時と同じように、前半でヒューマンドラマを期待してしまい後半でその期待の行き場がない状態になってしまった。
●犬童監督のジョゼと虎と魚たちは僕が一番好きな邦画なのだが、ジョゼ虎との一番の違いは、登場人物に最後まで興味が持てたか、だった。ジョゼ虎の場合は2人の恋愛という非常に狭い範囲を集中的に掘り下げていく映画だからこそ人物の描写がしっかりしてあり、2人がどのような結末を迎えるのか、最後まで画面から目が離せなかった。対してこちらは登場人物もエピソードも多く、しかもひとつひとつの掘り下げが浅いせいで人物一人一人に執着できず、後半にはもう興味を失っていた。ギャグの質やモブのシュールさなどを見てようやく同じ監督だということを実感できた。

所々好きな箇所もあった。
○最初の、ナオミの語りで時間軸が自然に前後する演出は好き。時間軸通りに見せるのでなくああいう手法を使うことで、サバを失った麻子のショックや次の猫を飼う事への躊躇いがより強調されていた。
○ハーモニカ横丁など、吉祥寺という街には興味を持った。夜の公園のシーンの噴水も不気味で良い。
○猫の去勢も、まさか麻子先生の子宮摘出とつながるとは…(個人的にはそこをとことん掘り下げて欲しかった。すごく皮肉が効いてるし、そのせいで21世紀の会の目標はダメになった訳だから、結構この映画の中で重要なエピソードだと思う)

勝手なことを色々書いてみたが、監督が原作の持ち味を壊さないようにした結果だろうと思う。自分には面白さがわからなかったが、大島弓子さんのファンなら楽しめるのかもしれない。
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