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レッド・サンのHKのレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
4.0
いきおいでアラン・ドロン追悼4本目。今度のドロンは完全悪役。
『シシリアン』は仏三大スター共演でしたが、その2年後に公開された本作はチャールズ・ブロンソン(米)、三船敏郎(日)、アラン・ドロン(仏)という世界の三大スター共演。
当時のTV-CMだと、“ウ~ン、マンダム”と“飲んでますか? 男は黙ってサッポロビール(あ、混ざった)”と“ダーバン⤴ セセレガンス、ナンチャラカンチャラ~”でしたか。

江戸幕府が調印した日米修好通商条約の後、西部で日本の親善大使が乗る列車を強盗団が襲撃、盗まれた宝刀奪還の命を帯びた侍が期限1週間のミッションを遂行する異色西部劇。

西部劇に初めて侍が登場しますが、未だそのシチュエーションで本作を超える映画はナシ。
荒唐無稽なキワモノだろうと思って観ていない人は侮るなかれ! 面白いです。
久々の鑑賞ながら、この歳になって観返してもワクワクと楽しめる傑作エンタメでした。
決して侍が敵の弾丸を刀で弾き返したりしませんからご安心を(え?そっちが好み?)。

宝刀奪還を命じられた武士の黒田重兵衛役を三船(当時51歳)。
強盗仲間に裏切られ三船に同行するガンマンのリンク役をブロンソン(当時49歳)。
リンクを裏切り金を独り占めしようとする悪党ゴーシュ役をドロン(当時36歳)。

三船の衣装や立居振舞は西部でも武士そのもの、他の映画の似非サムライとは雲泥の差。
今回はおしゃべりキャラのブロンソンも他の作品の寡黙なイメージを払拭し好感度アップ。
ドロンはクールな悪役を徹底的に楽しんでいる風で左利きの早撃ちがカッコイイ。
ドロンの役名は「セロ弾きのゴーシュ」と同じで、仏語で“左利き”の意味もあるとか。

出演は他に初代ボンド・ガールのウルスラ・アンドレスや『ピンクの豹』のキャプシーヌ。
そういえば終盤でブロンソン、三船、ダイナマイト・バディのアンドレスが並んだシーンが次元、五右衛門、峰不二子の3人に見えてしまいました(じゃあルパンがドロン?)。
そういえば冒頭でドロンに殺される侍は田中浩(丸大ハムCM“わんぱくでもいい~”の人)。

監督は初期のコネリー版007やヘプバーンの『暗くなるまで待って』のイギリス人テレンス・ヤングですが、監督候補にはエリア・カザンやサム・ペキンパーの名も。
ノリのイイ音楽はフランス人のモーリス・ジャール(『アラビアのロレンス』『グランプリ』)。
主なロケ地はスペインで、アメリカ、フランス、イタリア、スペインの合作となっていますが、もうマカロニのカテゴリーには納まり切れない多国籍西部劇ですね。
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