エイデン

レッド・サンのエイデンのレビュー・感想・評価

レッド・サン(1971年製作の映画)
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1870年 アメリカ
最初の日米親善使節がワシントンへやって来てから10年が経ち、新たに派遣された坂口備前守を大使とした使節団は、サンフランシスコから鉄道を用いて大陸を横断し、ワシントンへと向かっていた
物珍しい出で立ちの侍に、列車の関係者も興味深々といった様子だが、彼らは列車の1車両を貸し切り、油断ならぬ雰囲気を漂わせていた
それもそのはず、使節団は日本の天皇から直々に黄金の宝刀をアメリカ大統領へと届け、新たな条約に調印を貰うという重要な任務を与えられていたのだ
一方 使節団が乗った列車に、列車強盗の常習犯である無法者であるリンクと、その相棒ゴーシュが乗り込んでいた
2人に率いられた強盗団は、合図で一斉に動き出す
外から陽動のため援軍を呼び寄せて銃とダイナマイトで撹乱すると、外に飛び出した護衛達を置き去りにして瞬く間に列車ごと奪い去っていくのだった
しばらくして停車させ、強盗団は目当てである郵便貨車の金貨と乗客の金品を奪っていく
異変を感じ取った使節団だったが、そこにゴーシュが現れ、金品を要求する
致し方なく備前守は献上するはずの金を渡すよう命じるが、ゴーシュは目ざとく宝刀の存在に気が付き、あろうことかそれを強奪してしまう
すぐさま護衛の侍が追うが、彼はゴーシュの放った凶弾に倒れる
もう1人の侍である黒田は、主を危険に晒すわけにもいかず、卑劣な行いに対して静かに怒りを募らせるのだった
その頃 リンクは1人郵便貨車で金貨の積み下ろしをしていたが、そこに突然ダイナマイトを投げ込まれ、命からがら外へと飛び出す
実はゴーシュは既にリンクを見限っており、金貨の分け前を増やすために殺そうと企んでいたのだ
ゴーシュらは去り、黒田が仲間の遺体を弔っていると、気を失ったリンクを発見し介抱する
目を覚ましたリンクは自分が置かれている状況を説明され途方に暮れる
そんな彼に対し備前守は、復讐のために宝刀奪還に力添えしないかと提案する
拒否するリンクだったが、既に任を命じられていた黒田に脅される形で渋々承諾する
備前守は黒田に対し紐のついた脇差を与える
紐には7つの結び目がついており、1日経つごとに1つ解き、大統領との謁見の7日後までに宝刀を奪還できなければ腹を切るよう命じるのだった
こうして2人はゴーシュを追うこととなるが、リンクは感情を表に出さず口も開かない黒田を気味悪く思い、黒田も隙あらば逃げ出そうとするリンクに手を焼いていた
果たして2人はゴーシュを追い、復讐と宝刀の奪還を果たすことができるのか



西部劇feat.サムライ
国の垣根を乗り越えて究極の和洋折衷を果たしたアクション・ドラマ
え?時代とかどうなのよ?と言う人がいそうだけど、サムライとガンマンって普通に同時代にいるのよね

実はいくつかあったりするサムライが西部で大活躍する作品群の元祖
テレビドラマ『水戸黄門』でもタイムスリップして西部劇してたよね・・・

公開年は1971年と、詳しい方ならご存知のように西部劇としてはかなりの遅咲き
当然のように流行には遅れに遅れての登場ながら、奇抜なプロットと豪華な出演者が話題となった

そう、凄まじいのは出演者である
サムライ 黒田役に三船敏郎
相棒となるリンク役に、ハリウッドを代表するアクション俳優チャールズ・ブロンソン
悪漢ゴーシュ役に、フランスの二枚目俳優アラン・ドロン
まさに世界中に通用する最強の布陣である
更に端役ながら初代ボンドガールとして男達を魅了したウルスラ・アンドレスも出演
監督も初期007シリーズを手掛けたテレンス・ヤング
音楽も『アラビアのロレンス』などでアカデミー賞も受賞しているモーリス・ジャールまで迎える強気すぎる構えである
もう往年のスターが一度に拝めるだけでも必見の価値がある

ストーリーとしては所謂バディもの
忠義に厚く実直なサムライ黒田と、
自由を愛する不真面目なアウトロー リンクが旅を通して互いを認め合っていく姿が上手く描かれている
無口な黒田に 軽口の止まらないリンクなど、対比的なキャラクター像が見事で、その際たるものが武士道精神的な信念の有無かと思う
冒頭のシーンでも忠義のために命を投げ出せる黒田と、厄介事からは逃げるに限るというリンクのキャラ付けはバッチリ
黒田の生き様に触れるリンクが感化されていく様子は、描写こそ少ないものの十分に感じられるし、ゴーシュの悪党ぶりが際立ってくる
そこからも、西部劇(またある種の復讐譚)の皮を被った外国人視点での異文化交流物語とも取れるだろう

ビジュアルの強烈さばかりが目に付きがちだけど、決してナチスとゾンビみたいな力技のジョグレス進化ではないので安心して観よう
そして映画関係者さんリメイクお願いします
ジェフリー・ディーン・モーガンと渡辺謙、ヴァンサン・カッセルあたりで
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