Risa

泥の河のRisaのネタバレレビュー・内容・結末

泥の河(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『もはや戦後ではない』という新聞の見出しとは裏腹、戦争や学校という規律の中で人は貧富の差は無く、平等であれる。

同じように無駄死にしてもお国の為と言われた方が救われるものがある。

ポケットに穴が空いてお金を落としてしまう、なんてのは私でも子供の頃はあった気がするけど 笑

それを許す友の存在に救われます。

中学生の時、職業体験で保育園のクラスをお世話したことがあり、信雄にそっくりな顔の子どもがいて、『僕のお仕事は、先生のお手伝いをすることだよ』と言って、優しく何でもフォローしてくれる男の子。
責任感を持って観察して、どんな人にも優しく接することが出来る落ち着いた大人な人間性に胸を打たれ、素敵なご両親なのだろうなと惚れ惚れした4歳児。

信雄に重なり、信雄は、温かい家庭だけれども、無論どんな家庭も完璧ではなく、それ故に人の心の痛みを理解出来る優しさがあるのだなと。

一方、小学生の時、学校の帰り道の途中に住んでいた同級生の女の子がきっちゃんに似ていて、おばあちゃんと女の子2人暮らしで、明らかに両親と別に暮らしていることは訳あり。あどけなさの中に、どこか大人びた暗さがたまに見え隠れする、基本的にはあっけらかんと明るく良い子なのに、
きっちゃんが蟹を燃やして遊ぶような、内側に狂気を抱えた鋭い目つきを携えた子。
後に銀子のようになっているのかもしれない。

戦後76年。あのような船も45年前くらいまで地域によってはあったかもと聞き、急成長する世の中で翻弄した人々を見て、胸が締め付けられました。
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