千年女優

カイロの紫のバラの千年女優のレビュー・感想・評価

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)
4.0
大恐慌時代の1930年代。ニュージャージーでウエイトレスを務める主婦で、失業中で傲慢な夫の言動にうんざりするセシリア。唯一の憩いの場である映画館で新作「カイロの紫のバラ」に夢中になる彼女が、その登場人物で突然スクリーンから飛び出したトムに声を掛けられて業界を驚かす騒動に巻き込まれる様を描くファンタジードラマです。

ライターにコメディアン、俳優を経て1969年から映画監督として活動してアカデミー賞の史上最多ノミネートを誇るウディ・アレンがイタリアの戯曲『作者を探す六人の登場人物』に触発されて手掛けた1985年公開の作品で、老若男女に愛されるささやかな奇跡の物語が受けて脚本賞を中心にアカデミー賞らの各映画賞にノミネートされました。

アレンらしい機知に富んだユーモアとファンタジーが盛り込まれた作品で、爽やかな展開で観客の憧れる夢の様なシチュエーションを演出します。恋愛物語としてはプラトニックでやや幼いところはありますが、ただスイートなだけでなく現実に引き戻される展開は切なく、それでもスクリーンだけはいつまでも味方であることを示す一作です。
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