バルボッサことジェフリー・ラッシュ主演作、本作で彼はオスカーを獲得しました。
実在のピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットの半生を映画化した一本。まだご本人もご存命とのこと。天才的なピアノの才能を待ち、厳格な父親のスパルタ教育のもと鍛錬を重ねていたデイヴィッドは、とあるコンクールで難解な曲として知られるラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」の演奏を決意する。しかし、重度の緊張や過労から次第に精神に異常をきたし始め...。
ジェフリー・ラッシュの迫真の演技に心奪われること間違いなしの一本。私は音楽に関して、演奏するという発想になったことがほぼないのですが（笑）それでもアーティストが抱く緊張感やプレッシャーは図り知れないのだろうと察します...。
特にピアノって、あの指の繊細な動きが求められる感じがもう見てるだけでハラハラ...。日々最高の音を求めて、研鑽を重ねるピアニストの皆さんの偉大さを痛感します。
本作を観ると、いかに教育って大事か痛感します。ピアニストとして大成したけれど、お父さんのスパルタ教育はデイヴィッドにとって幸福なものだったのか...。
素敵な女性と巡り会えた点などを顧みれば、きっとデイヴィッドは幸せだと言うと思うけれど、あの幼少期の強烈な記憶は脳裏に焼きついて離れないはず。
結果的に根詰めすぎてデイヴィッドの人生を大きく変えることになるラフマニノフの演奏は、父とは異なる教え方の師であるセシル・パーカーによって少しずつ熟成されていきますが、きっとデイヴィッドがピアノを演奏する限り、お父さんとの記憶は消えないんだろうなあ...。父と子の描写がとても切ない映画でした。
少しずつ言葉を発するのが難しくなったり、奇行が目立ち始めるデイヴィッド。しかし、それでも人々が愛してやまない素晴らしい人物に変わりはなくて。ジェフリー・ラッシュの演技がとにかく素晴らしくて、観ながらどんどんデイヴィッドへの愛おしさが募っていきました。
色んな人の愛に支えられ、自分の人生を少しずつ輝かせていくデイヴィッドの姿が美しいオーストラリアの映像とともに綴られて、心癒されること間違いなし。
ジョン・ギールグッドの晩年の作品だけどセシル役圧倒的な存在感だったなぁ...。ラストシーンも好き！
