生れてはみたけれどの作品情報・感想・評価・動画配信

「生れてはみたけれど」に投稿された感想・評価

moto

motoの感想・評価

4.8
サイレントで90分、背景の音楽もないのに、こんなに見入ってしまうなんて驚いた。しまいには泣いてしまったぐらい。サイレント映画であることなど忘れてしまうぐらいの素晴らしいクォリティ。
子供の視点で描いているからこそ会話や動き、表情が生き生きとしていて、色や声や音や音楽がなくても勝手にこちらの想像で埋められる。「足りない」と思ったことは一度もなかった。すぐにサイレントの世界に入れたし、表現や感情が充満していた。

子供の視点で描いた、小津のカラー映画の「おはよう」を思い起こさせるものもあった。共通して子供の愛嬌とその周りの大人の暖かく見守る様が描かれていた。今作では特に母親の優しさ・慎ましさが印象深くて、庭のベンチで息子たちが「断食」をしているときに母親が静かに歩み寄っておにぎりを持って行くシーンが本当に美しかった。その前日に息子と父親が衝突したことを境に父親の表情が柔らかく・優しく、真の父親の威厳を持つようになったような気がした。

テクニカルな部分でももちろん様々な特徴があったはずなんだけれども、初回は映画の物語自体(特に何か大きなことを描いたわけではないのだけれども)に心を動かされてしまったので、そこについては割愛せざるを得ない。

自分は、自分の父親は「偉い人」なのかどうか、自分はそうなれるのか、自分の父親や父親像を重ね合わせながら鑑賞した。

戦後の作品に比べて、高い「抽象度」のようなものよりもむしろまだ若干の荒っぽさ?があって、より手作り感や優しさがあるかもしれない。例えば俳優も、「おはよう」では父親も母親も、周りの大人たちは非常に端正な容貌をした人が多いのに対して、こちらの作品ではもっと人間くさい。だからむしろもっとい自分に近いというか、内部化しやすかったのかもしれない。

これもいろんな人に薦めたいですね…!!
cr

crの感想・評価

4.0
職場の人にすすめられなかったら自分では絶対に手に取らなかっただろう、サイレント映画。感謝。
「お早よう」みたいに子供たちがナイスで平和。ふてくされかたがかわいいんだよなぁ〜。あと謎の遊び。で、思いがけずいい話。あそこでおむすびが出てくるのはずるい。日本人の根っこは変わらないなと思った。
departman

departmanの感想・評価

3.9
お父さんのぺこぺこに
カッコいいと気付けたのはいつだっただろう

「お金があると、偉いの?」

変な顔もキメ顔もできる大人なら
お金がなくたって
十分偉い
セリフがないので最初はとっつきにくかったが、中盤あたりからはセリフがないことも気にならなくなった。お父さんの顔芸が最高でした。
犬

犬の感想・評価

4.0
子供の視点と大人の悲哀は後の『お早よう』に通ずるテーマであり、フェードイン/アウトからカットで繋ぐ手法に切り替えた転換点でもある今作は小津のサイレント期における代表的作品と言える。横移動×クロスカット、回り込み、トラックアップ/バックなど、カメラワーク技術が顕著に上がっているのも見事。活動写真でひょうきんな姿を晒したことから親父の威厳が崩壊してしまう流れもキッカケとして面白い。
アノ

アノの感想・評価

4.5
タクシーに乗るときのカッティングがめちゃくちゃ良かった記憶。
よっぴ

よっぴの感想・評価

4.3
サイレントなのに120%なキャッチーになるの凄いし、滑稽な変顔で終わらない人生がタイトルさらに重みを。弟の表情すごいなあ
突貫小僧と青木放屁は顔が似ていると思ったら異父兄弟というまめ。小学校の教室に爆弾三勇士の額が飾られているのめちゃくちゃやだな。食べることの併せ持つ自由と抗うことのできない欲求に屈する後ろめたさ。どうせ食うなら団欒を分かち合わなという諦念。帽子文化って挨拶がより視覚的なのがよい。
小津監督初期のサイレント映画。まぁ、素晴らしい! 悪ガキっぽい子どもたちと大人たちの関係がいい。時代が変わってもサラリーマンの悲哀は同じ。喜劇らしい終わり方もgood!
さすがはキネマの豆腐屋!
東京郊外に引っ越した
中流の家族の他愛ない日常を映しつつ
お金があればエラいのか?
地位のある人にペコペコするのは
意気地が無いのか? というような
普遍的で核心めいた命題に
ナチュラルに接近していく

父親ごときに挨拶するのに脱帽したり
喧嘩を売るときや売られたとき
サッと履いてる下駄を手に取ったり
時代感たっぷりの子供のしぐさが
かわいらしいんだなあ
   
2020.10.25
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