甘味

生れてはみたけれどの甘味のレビュー・感想・評価

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)
4.5
今まで観た小津作品の中で一番好きなのは『秋日和』。そして二番目に好きになのがこれ。28歳の小津監督が撮ったサイレント作品です。(因みに三番目は本作のセルフリメイク作品『お早よう』)

無性に観たくなって再観賞したんですが、前に観たときよりもっともっと心に沁みた。
音楽も効果音も何もない、完全なサイレント。まさに大人の見る絵本。この映画は完璧だ。笑って泣けて…あぁもうたまらない…

「僕のお父ちゃんが誰よりも偉いに決まってる」そう信じて疑わなかった兄弟だったけど…。大人の悲哀を子供の目線で描いた傑作。

序盤から中盤まではやんちゃ坊主たちの一挙一動が面白くて可愛くてただただ釘付けになり、終盤は切なさとやりきれなさ、そして愛しさで胸が一杯になって涙がこぼれます。
小津監督が描く家族が大好き。優しくて、あったかくて、愛が溢れてる。

私もこの先、娘につまらない人間だって思われるかもしれない。その時はこの作品の両親を思い出そう。

子供の成長こそ、親にとって一番の幸せ。