海老

ダークナイト ライジングの海老のレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
3.8
レディ・プレイヤー1をキッカケに過去作を追いかけよう企画。
ダークナイトトリロジー完結編。

こんなにも人間臭く、弱さに足掻く孤独なヒーローは観たことがありません。随所で見せる、人間として身体の限界を感じさせる描写は、今にも折れそうで哀愁を誘う。

前作は圧倒的な悪のカリスマ、ジョーカーの独壇場であったのに対し、今作ではテロそのものの規模が過去最大となり、バットマンの伝説の終幕に相応しいものとなっていました。

第一作であるバットマンビギンズとリンクしている箇所がとても多く、ついこの前観たばかりの僕には嬉しい展開でした。

途中までは大規模ながら王道な事件展開だったこともあり、終盤で明かされる真相は完全に予想の外で、不意打ちを食らいました。正直、今回の悪役は随分と華が無いななんて思っていたのですが、まさかそうくるとは。

事件を追うゴードンの奮闘も健在で、前回に増して熱血正義感となっているのは、デントの件への負い目もあるのでしょうか。バットマンのバディと言っても過言じゃない活躍はさすがの名演でした。
何より、今回はアルフレッドに泣かされました。唯一の理解者であり、「見捨てないのか?」「決して」と言い続けていたアルフレッドが、ブルースの身を案ずる一心で自ら遠ざかるシーン。張り裂けるようでした。痛々しくて観ていられないほどに。
あと、なんやかやしぶといクレインには少し笑ってしまった。

シリーズを通し、正義とは、ヒーローとは何なのかを描いてきた作品。
最後の別れ際にバットマンが放った言葉が、監督からの回答なのかなと思えます。
かつて、レイチェルに自分の正体を告げたシーンとも重なりました。暴力で悪をくじくだけでなく、誰もが目の前の誰かを救うヒーローになれるということ。バットマンが言うからこそ、素晴らしい名台詞であったと思います。

これで終わりと思うと寂しくも思いますが、今は、信念を貫いて戦い続けたバットマンに喝采を送りたい気分です。

良い映画を観られました。
海老

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