アンタレス

ダークナイト ライジングのアンタレスのレビュー・感想・評価

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)
3.1
ジョーカーとの死闘より8年。ゴッサムの光の騎士ハーヴィー・デントの名前を冠する『デント法』が施行された。これにより、平和が訪れたゴッサムシティだが、ブルース・ウェインとバットマンは表舞台から姿を消してしまっていた。しかし、ゴッサムの平和を望まない者も居る。影の同盟の信者であった、ベインである。
ベインはウェイン産業が研究中の核融合炉を、兵器として利用するために暗躍を開始した。


まず、今作は過去2作に比べて明らかに質が劣る。ダークナイトトリロジーの魅力は、ただのアメコミ実写作品の枠に収まらない、細緻な脚本からなるクライムサスペンス要素が一番の魅力である。が、今作はその魅力は見事に切り捨てられ、掃いて捨てるほどあるアメコミ作品と同列になり下がっている。
ベインに至っては終盤は完全な小者、むしろ置物といってもいいレベルであり、最期の瞬間に至ってはさすがに手抜きだろうと。
そして、『デント法』である。ストーリーの根幹にあるのはこのデント法なのだが、この法令自体が不明瞭であり、もっとデント法の内容を明確にしてくれなければ、ベインやその他の人物の行動に整合性が取れない。ただのチンピラとしてしか映らないのだ。
トム・ハーディ、アン・ハサウェイ、マリオン・コティヤール等が新たに加わったが、引き換えに今まで作品を支えていたモーガン・フリーマンやマイケル・ケインの出番は激減しているのも、個人的には物足りないと感じた要因だろうか。
証券取引所のシーン、逃走する際は真昼だったのだが、トンネルらしき部分を抜けたとたん真夜中になっているのは何故だろうか。コンピュータの画面を見る限り、その間約6分30秒ほどなのだが、ゴッサムでは6分で真昼でも夜になるのだろうか。
他にも気になる点を挙げればキリが無いが、ひとつ言えるのはダークナイトトリロジーとしては完全に駄作、アメコミ実写作品としてもギリギリ観賞できるレベルの映画でしかなかった。
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