戦争の天才だが、頑固で短気な陸軍軍人ジョージ・パットンの第二次世界大戦での生き様を描く。コッポラが初めてオスカーを手にしたのは『ゴッドファーザー』ではなくこの作品(脚本賞)ということで鑑賞に至ったが、私の肌には合わなかった。
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偏屈な爺さんに付き合わされる3時間。この男にキャラクターアークはほとんどなく、高官たちの軍略会議が延々と続く印象。よほどのWWⅡオタクでない限り、彼らの会話は退屈だと思う。
兵卒ではなく高官たちに焦点を当てた以上、感情移入がしづらくなるのは当然で、普遍的なヒューマンドラマに落とし込むとか、凡人の視点を入れるとか何か工夫がほしかった。『ヒトラー 最期の12日間』はその辺うまくやっていたと思うし、『博士の異常な愛情』みたいにコメディに振り切っていてもよかったと思う。
また、冒頭の演説シーンや国歌的な音楽が象徴するような、「当時のアメリカ万歳」なムードにも気持ち悪さを感じてしまった。
映像面でも嫌悪感を煽る。建物の中のシーンはセットを用意した感じがプンプンして、リアリティに欠けていた。お外でのシーンは、ロケーションに凝っていたり、戦車や兵士を贅沢に揃えていたりとまだ見栄えがよいのだが、それでも他の戦争映画に比べると迫力のあるシーンを切り貼りした感じが否めなかった。
戦争映画は長尺でも飽きずに観られることが多いのだが、例外もあることを知った。