囚人13号

ゴダールのマリアの囚人13号のレビュー・感想・評価

ゴダールのマリア(1984年製作の映画)
3.8
無修正版。処女懐胎という絶対領域への罪深き侵入、見世物的に披露される裸体の性的魅力は次第に損なわれていき、最後に残骸の如く露呈されたあられもない女の姿は『時計じかけのオレンジ』と同等にすら思えてくる。

聖母マリアにアダムとイブまで関わってくる荒唐無稽さに加え、人間が産み落とされるという台詞(万有引力)以前からの概念、神話では人類よりも先に存在していた禁断の木の実=林檎とそれを齧ることが関係性を一応は補完しており、すなわち緑であれば家族の仲を取り持ったり独特な眼球講座によって安堵を齎し、赤はイブらしき名前の金髪女性を追放するのである。

最後に林檎は自動車に置き換えられるが、女の叫び声を代弁するクラクションや月経の周期を示唆する月などは好み。
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