にゃんこむ

うた魂(たま)♪のにゃんこむのレビュー・感想・評価

うた魂(たま)♪(2008年製作の映画)
3.6
ストーリーの密度の割りに二時間と長めですが、
その分合唱曲のシーンに時間を割いてくれています。
湯の川学院高校ヤンキー合唱部の15の夜は私もすごく感動しました。このシーンだけの為にこの映画を見てもいいくらい良かったです。
他の曲もどれもとても良い。合唱って良いなぁと思える映画です。

ストーリーは、主人公がクラスメートの男子が撮った写真を見て自分の歌っている顔に衝撃を受け、さらにその男子に「ずっと写真を撮りたかったんだよなー。だって、産卵中のサケみたいな顔だろ」と言われ完全に心が折れてしまい、合唱部を続けるのも辛くなり、学校に行かなくなったところからお話がスタートします。

本筋のすこし根暗なストーリーと川学院高校ヤンキー合唱部率いるゴリのコメディな部分がどちらも中途半端なのでストーリーが浅く感じられました。思春期の葛藤や狭い学校生活での苦悩を中心とした部活モノにするか、高校生ゴリとの切磋琢磨を描くコメディ路線でいくか、どちらかに寄せた方が良かったかも。

本筋のストーリーはというと、学校生活の少し閉鎖的であるあると言いたくなるような、ちょっと陰湿な女子の関係だったり、協調性を重要視したり……たしかに合唱部で一人で突っ走るタイプの歌い方では良くないかもしれないけれど、「自分の綺麗な声を皆に聞いて欲しい」っていう主人公を否定する作品なのは正直微妙でした。
そもそも、合唱部の強豪校で、ビデオや写真に写る機会が無かったわけではないのに、主人公は自分の歌っているところを見たことなかったのかな?
ストーリーの都合上主人公にヘイトを向けるようにしているように思える強引さがちょっと気になりました。

湯の川学院の合唱部部長(ゴリ)とのシーンは、ゴリが高校生かよ! という見ている側の突っ込みから始まります。
ゴリが絡むシーンは真面目に青春ドラマをしているんですが、正直浮いてる。そこが面白い。
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