アキラナウェイ

脳内ニューヨークのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)
3.3
フィリップ・シーモア・ホフマンが好きだ。
(何の告白だ…)

ツイスターで「It's coming!」と叫んだ竜巻オタク
ブギー・ナイツのキモデブオタク
マグノリアの心優しい介護士
M:i:IIIの恐らくシリーズ最恐、残虐非道の悪役
かなり寄せ気味?カポーティ本人役

冴えない役も冴えてる役も何でもこなす演技の幅が好きで、訃報を聞いた時は悲しかった。

そんな彼の頭がぱっかーんと割れて、NYの街並みが飛び出すジャケット。これは観なければ!と半ば使命感で鑑賞。

そしたらまぁこれは脳がトロける脳内麻薬分泌ムービー。もう訳わかんないし、意味不明。スコアつけるの難しー!

NYに住む劇作家のケイダン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、仕事も夫婦仲もうまくいかず、妻子には逃げられ、新しい恋人には捨てられ、原因不明の病気になって病院をたらい回し。しかし、マッカーサー・フェロー賞(別名“天才賞”)を受賞した事を機に、その賞金を元手に前代未聞のプロジェクトを開始する。それは実際のNYの街中に自分の理想とするNYの街並みを再現し舞台化するというものだった。

どこからか現実と虚構が入り交じる様になり、観衆はこれが現実なのか舞台上の演出なのか、区別がつかなくなる。

もう一つ厄介なのはケイダンの時間感覚だ。

妻子が家を出て1週間だと捉えているケイダン。…実際には1年が経過。日々稽古に励むキャストから「いつ上演するのか?」とクレームが出る。…稽古は17年にも渡っていた。

この知らず知らず時間軸が狂う感覚。言われてみればケイダンはどんどんと老け込み、髪の毛は後退していく。加えてケイダン本人役を演じる役者が実際の出来事を再現していく奇妙な感覚。

時空が歪み、脳がトロける。

「意味わからん!」と一笑にふせば、それまでの事。しかしこの奇妙な感覚はクセになる。

余談として。ミシェル・ウィリアムズ出演映画を最近よく観るけれど、映画によって美人さんだったり、そうでもなく親近感の湧く平凡な女性だったり。くるくると変化する魅力的な女優さんです。

まさかこの映画が本年の観納めだろうかと今更気付いて、こんなんじゃ締めくくれない様な気がしてきた慌しい年の瀬。